バンダイナムコは何の会社?結局何で稼ぐ?

バンダイナムコホールディングスは、トイホビー、デジタル、映像音楽、アミューズメントを主要な報告セグメントとする総合エンターテインメント企業です。 「ゲームの会社」という印象を持つ人も多いですが、実際の収益源はゲームだけではありません。

2027年3月期第1四半期では、トイホビー事業の売上高が1,927億60百万円、セグメント利益が539億44百万円となり、4主要事業の中で最大でした。 デジタル事業は売上高909億1百万円、セグメント利益150億11百万円で、こちらも大きな事業ですが、この四半期の利益規模ではトイホビーが大きく上回っています。

初心者向けに一言でいうと

バンダイナムコは、人気IPを生み出し・育て、玩具、カード、ゲーム、映像、音楽、店舗など多くの形に展開して、一つのIPから複数の収益機会を作る会社です。

「ゲーム会社」とだけ見ると収益構造を見誤る

2027年3月期1Qの数字を見る限り、最大のセグメント利益を稼いだのはデジタルではなくトイホビーです。 したがってバンダイナムコを分析するときは、「今期どのゲームが売れるか」だけでは不十分です。 玩具・カード・ガシャポン・くじ・映像・ライセンス・店舗まで含め、IPがグループ全体でどれだけ広く収益化されているかを見る必要があります。

まず決算全体を見る|売上9.3%増、営業利益33.3%増

売上高3,284.94億円前年同期比 +9.3%
営業利益692.04億円前年同期比 +33.3%
経常利益744.93億円前年同期比 +36.3%
親会社株主帰属純利益511.35億円前年同期比 +33.4%

2027年3月期第1四半期の連結売上高は3,284億94百万円、営業利益は692億4百万円でした。 前年同期は売上高3,004億30百万円、営業利益519億21百万円だったため、売上の伸び以上に利益が伸びたことが分かります。

損益計算書を見ると、売上総利益は前年同期の1,259億97百万円から1,450億88百万円へ増加しました。 一方、販売費及び一般管理費は740億75百万円から758億83百万円への増加にとどまり、営業利益は519億21百万円から692億4百万円まで拡大しています。

売上増だけでなく「利益の伸び」が大きい四半期

単純計算した連結営業利益率は前年同期の約17.3%から約21.1%へ上昇しています。 この四半期では、トイホビー事業の大幅な増益がグループ全体の利益成長を強く押し上げました。 ただし、トイホビーには北米子会社で計上した米国追加関税に係る還付金の影響も含まれるため、この利益率をそのまま恒常的な水準とみなすのは避けるべきです。

売上構成・利益構成|最大の稼ぎ頭はトイホビー

セグメント別に見ると、バンダイナムコの収益構造はかなり特徴的です。 ゲームを含むデジタル事業も大きいものの、2027年3月期1Qではトイホビーの売上・利益が突出しました。

事業 セグメント売上高 前年同期比 セグメント利益 前年同期比 単純利益率
トイホビー 1,927億60百万円 +31.2% 539億44百万円 +88.8% 約28.0%
デジタル 909億1百万円 -15.7% 150億11百万円 -30.8% 約16.5%
映像音楽 192億79百万円 -9.3% 13億20百万円 -68.8% 約6.8%
アミューズメント 380億92百万円 +12.6% 19億91百万円 -4.0% 約5.2%

※「単純利益率」は各事業のセグメント利益÷セグメント売上高で当サイトが単純計算した参考値です。セグメント売上高にはセグメント間の内部売上高・振替高が含まれるため、連結売上高に対する営業利益率とは性質が異なります。

外部顧客への売上高で見ても、トイホビーは1,841億57百万円で最大です。 デジタル896億85百万円、アミューズメント378億79百万円、映像音楽150億94百万円と続きます。

「売上構成」以上に注目したいのが利益構成

4主要事業のセグメント利益合計722億68百万円のうち、トイホビーは539億44百万円です。 単純比率では約4分の3を占めます。 これは「バンダイナムコ=ゲーム中心」というイメージと、実際のこの四半期の利益構成が大きく異なることを示しています。 ただし、四半期ごとにゲームの大型新作や映像作品のヒット状況が変わるため、1Qだけで長期の利益構成を固定的に判断することはできません。

利益率から見る4事業の違い

トイホビー:約28.0%

この四半期では4主要事業で最も高い単純利益率となりました。 会社側は、ガンプラ、一番くじ、トレーディングカード、ガシャポン、菓子・食品、ステイショナリーなど幅広いカテゴリーが国内外で好調だったと説明しています。 さらにガンダム、DRAGON BALL、ONE PIECE、たまごっちといった定番IPが力強い存在感を示しました。

デジタル:約16.5%

主力アプリタイトルは好調だった一方、前年同期にはワールドワイド向け大型新作タイトルの発売があり、今期はタイトル編成の違いが業績に影響しました。 同じ「ゲーム」でも、継続運営型のネットワークコンテンツと、新作発売時の影響が大きい家庭用ゲームを併せ持つため、四半期ごとの変動要因を分けて考える必要があります。

映像音楽:約6.8%

ガンダムシリーズ、ラブライブ!シリーズのライセンス展開や「ワンパンマン」などのグローバル展開、映像配信は安定的に推移しました。 しかし前年同期には「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」の劇場興行収入や映像配信が大きく貢献しており、その反動が表れました。

アミューズメント:約5.2%

国内アミューズメント施設の既存店売上高は前年同期比107.6%と好調でした。 ただしセグメント利益は前年同期比4.0%減です。 この事業は施設単体の利益だけでなく、グループ商品・サービスの認知を広げる「ファンとのタッチポイント」という戦略的役割も明示されています。

IP軸戦略とは?収益が循環するビジネスモデル

バンダイナムコは、IPの世界観や特性を活かし、最適なタイミングで、最適な商品・サービスとして、最適な地域へ提供することでIP価値を最大化する考え方を「IP軸戦略」としています。

重要なのは、「人気キャラクターの商品を売る」という単純な話ではありません。 映像、ゲーム、玩具、カード、イベント、店舗などが別々に存在するのではなく、それぞれがファンとの接点となり、IPの人気を長く保ちながら別の事業へ波及させる構造を目指しています。

映像・ゲームなどでIPとの接点を作る

玩具・カード・ガンプラ・くじなどへ商品展開

店舗・イベント・体験施設でファンとの接点を拡大

ライセンス・海外展開で地域とカテゴリーを広げる

IPを継続的に育て、次の商品・作品・サービスへ

IP軸戦略の本質は「一度売って終わり」にしないこと

一つの作品や商品だけで回収するモデルでは、ヒットの有無が業績へ直接響きやすくなります。 バンダイナムコの特徴は、同じIPに対して複数の商品カテゴリーと複数のファン接点を用意できることです。 会社自身も「IPを創出する」だけでなく「そだてつづける」ことを中期計画のキーテーマに掲げています。 したがって企業分析では、新作の初動だけでなく、IPが何年・何十年にわたって展開カテゴリーを増やせるかが重要になります。

トイホビー|なぜ現在の最大利益源なのか

トイホビー事業は、単なる子ども向け玩具の事業ではありません。 2027年3月期1Qでは、ガンプラや一番くじなどのハイターゲット(大人)層向け商品、トレーディングカードゲーム、ガシャポン、菓子・食品、ステイショナリーなど各カテゴリーが国内外で好調でした。

収益源が一つの商品カテゴリーに偏っていない

特徴は、同じIPでも異なる商品形態へ展開できることです。 ガンプラのような組み立て商品、くじ、カード、カプセルトイ、食品、文具では、買う理由も価格帯も購入頻度も異なります。 会社側も「展開カテゴリーや商品ラインナップ、ターゲット層の拡大」を進めています。

大人向け市場を取り込める

IRではガンプラや一番くじを「ハイターゲット(大人)層向けの商品」と明記しています。 キャラクター商品を子ども向けだけに限定せず、長年IPを好きなファンにも商品を提供できる点は、IPを長期的に育てる戦略と相性が良いと考えられます。

国内だけでなく海外カテゴリー拡大も進める

中期計画では、ハイターゲット向け商品、トレーディングカード、カプセルトイ等の展開拡大に加え、各地域でECを強化するとしています。 日本発IPの世界的な人気拡大を、実際の商品販売へ結び付けるための販売網・タッチポイント強化も重要なテーマです。

なぜトイホビーが強いのか

今回のIRから確実に言えるのは、①複数カテゴリーが同時に好調、②複数の定番IPが寄与、③国内外で展開、④生産体制・流通も強化している、という点です。 つまり「特定の玩具1商品が大ヒットしたから」というより、IP×カテゴリー×地域の組み合わせを増やしていることが事業の厚みにつながっています。 一方、1Q利益には米国追加関税に係る還付金も含まれるため、約28%という単純利益率だけを将来へ機械的に延長するべきではありません。

デジタル|ゲームは大型新作と継続運営の両輪

デジタル事業には、ネットワークコンテンツと家庭用ゲームなどが含まれます。 2027年3月期1Qでは、DRAGON BALL、ONE PIECE、アイドルマスター、ガンダムなどの主力アプリタイトルが継続的な施策によって好調に推移しました。

一方、家庭用ゲームでは、前年同期にワールドワイド向け大型新作タイトルの発売があったため、タイトル編成の違いが今期の減収減益に影響しました。 売上高は前年同期比15.7%減、セグメント利益は30.8%減です。

ネットワークコンテンツは「発売して終わり」ではない

主力アプリでは継続的な施策が業績に寄与しています。 ユーザーとの接点を維持しながら運営を続けられる点は、IPを「そだてつづける」という全社戦略ともつながります。

家庭用ゲームは発売スケジュールによって四半期差が大きい

大型タイトルの発売時期がずれるだけでも、前年同期比は大きく変動します。 そのためデジタル事業を分析する際は、「前年比で減収だからIPが弱くなった」と単純化せず、前年と当年のタイトル編成を確認する必要があります。

デジタル事業は「単独のゲーム売上」以上の意味を持つ

バンダイナムコのIP軸戦略では、ゲームもファンとの重要な接点です。 ゲームでIPへの接触時間が増えれば、玩具・カード・映像・イベントなど別カテゴリーへの関心につながる可能性があります。 ただし、どのゲームが具体的に他事業へいくら波及したかまでは今回の資料で数値開示されていないため、波及額を断定することはできません。

映像音楽|単なる映像販売ではなくIP創出の役割

映像音楽事業では、ガンダムシリーズやラブライブ!シリーズの商品・サービス等のライセンス展開、「ワンパンマン」などのグローバル展開、映像配信などが行われています。

2027年3月期1Qは売上高192億79百万円、セグメント利益13億20百万円でした。 前年同期には「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」の劇場興行収入や映像配信が大きく寄与していたため、その反動で減収減益となっています。

映像音楽事業はIPを「作る側」でもある

会社は組織再編後の新体制で、IP軸戦略の核となるIPの創出と、バンダイナムコらしい音楽事業の展開に取り組むとしています。 映像音楽の利益額だけを見るとトイホビーより小さいですが、グループ全体で使えるIPを生み出す機能まで考えると、単純な利益率比較だけでは評価しにくい事業です。

海外ではガンダムの実写映画も戦略の一部

中期計画では北米に映像音楽事業会社を設立し、実写映画「GUNDAM(仮称)」についてパートナーと本格的な制作ステップへ進む方針が示されています。 新会社を制作投資の窓口とし、海外でのガンダムのライセンス、プロモーション、イベント等も強化する計画です。

アミューズメント|店舗を「売場」だけで終わらせない

アミューズメント事業では、「バンダイナムコ Cross Store」「ガシャポンのデパート」、IP体験型公式ショップなどを展開しています。 2027年3月期1Qの国内アミューズメント施設の既存店売上高は前年同期比107.6%でした。

売上高は380億92百万円で前年同期比12.6%増だった一方、セグメント利益は19億91百万円で4.0%減となっています。

重要なのは「ファンとのタッチポイント」

会社はアミューズメント施設について、独自の強みを活用した施設展開だけでなく、グループの商品・サービスの認知を拡大するためのファンとのタッチポイントとしての役割を強化するとしています。

利益率が低いから重要度も低い、とは限らない

アミューズメントを単体の約5.2%という単純利益率だけで評価すると、トイホビーより見劣りします。 しかし店舗でガシャポンや公式ショップ、体験イベントに触れたファンが別の商品・サービスへ移る効果があるなら、施設はグループ全体のマーケティング接点にもなります。 今回の資料ではその波及効果の金額は開示されていないため定量評価はできませんが、会社自身が「タッチポイント」として位置付けていることは重要です。

ガンダム・ONE PIECEなど主要IPはどう稼ぐ?

2027年3月期1QのIRでは、ガンダム、DRAGON BALL、ONE PIECE、たまごっちなどの定番IPがトイホビーで力強い存在感を示したと説明されています。 またデジタルではDRAGON BALL、ONE PIECE、アイドルマスター、ガンダムなどの主力アプリが好調でした。

ガンダム

ガンダムは、映像作品だけでなくガンプラ、ゲーム、ライセンス、海外展開、店舗・イベントなど複数事業と結び付きやすいIPです。 中期計画でも、ガンプラがトイホビーの商品例として挙げられ、映像音楽では海外での実写映画制作やライセンス・プロモーション強化が示されています。

DRAGON BALL・ONE PIECE

両IPは2027年3月期1Qにおいて、トイホビーの定番IPとして言及されると同時に、デジタル事業の主力アプリでも名前が挙がっています。 一つのIPが複数セグメントに登場すること自体が、IP軸戦略を理解する分かりやすい例です。

たまごっち・アイドルマスター・パックマン

中期計画では「たまごっち」をトイホビー事業発、「アイドルマスター」「パックマン」をデジタル事業発、「ガンダム」を映像音楽事業発のIP例として挙げ、グループが保有するIPのライセンス事業を強化するとしています。 つまりIPが生まれた事業領域に閉じ込めず、別領域へ世界観を広げることが戦略の一部です。

IPの価値は「どの事業から生まれたか」より「どこまで広げられるか」

バンダイナムコの強みを理解するうえでは、ガンダムは映像、たまごっちは玩具、アイドルマスターはゲーム、と出発点だけで分類するより、その後どのカテゴリー・地域へ展開できるかを見る方が重要です。 IPを複数事業へ横断させられるほど、一つのヒットを長期的なブランドへ育てる余地が広がります。

バンダイナムコの強みは何か

多彩なIP

ガンダムなど長年展開されるIPに加え、複数事業からIPを創出・育成する仕組みを持ちます。

商品カテゴリーの広さ

玩具、カード、ガシャポン、くじ、ゲーム、映像音楽、店舗・施設などファンとの接点が多岐にわたります。

複数事業を連携できる

一つのIPを一つの商品で終わらせず、別カテゴリー・別地域へ展開するIP軸戦略をグループ横断で進めています。

長期育成を重視

中期計画で「そだてつづける」を掲げ、シリーズ展開・ライセンス・ブランド力強化を重視しています。

「幅広いカテゴリー×多彩なIP」のポートフォリオ

会社自身も2027年3月期1Qについて、「幅広いカテゴリーと多彩なIPによるポートフォリオが効果を発揮した」と説明しています。 一つの事業、一つのタイトルだけに会社全体を依存させないことが、バンダイナムコの事業構造の特徴です。

バンダイナムコの強さはIP数だけではない

IPを多く持つだけなら、それだけで高収益になるとは限りません。 重要なのは、IPを商品化できるカテゴリー、販売地域、リアル・デジタル双方の接点、生産・流通、マーケティングまで持っていることです。 2027年3月期1Qでトイホビーの複数カテゴリーが同時に伸びたことは、この「展開先の多さ」が実際の業績へつながった一例と見ることができます。

中期戦略|「いいものつくる・もっとひろげる・そだてつづける・みがきふかめる」

バンダイナムコは2025年4月から3カ年の中期計画を進めています。 共通テーマは「さらなる事業規模の拡大」「新たな事業の柱の獲得」「長期利益を生み出す体制構築」です。

さらに4つのキーテーマとして、次を掲げています。

いいものつくる

ファンの期待に応える商品・サービス、IPの創出につなげる。

もっとひろげる

展開エリアとカテゴリーを拡大し、世界中のファンとの接点を増やす。

そだてつづける

生み出したIPやブランドを強く、広く、長く愛される存在へ育てる。

みがきふかめる

データ活用や新技術によって企画・需要予測・ビジネス精度を高める。

「もっとひろげる」では海外とカテゴリー拡大

トイホビーではハイターゲット商品、トレーディングカード、カプセルトイなどを拡大し、各地域でECも強化します。 デジタルでは日本と米国でワールドワイドのマーケティングをコントロールする体制の改善を進めます。 映像音楽では北米拠点や実写映画などを通じてガンダムIPの海外価値最大化を目指します。

「みがきふかめる」ではデータ活用

前中期計画から進めてきた「データユニバース構想」を複数事業で活用し、今中期計画では蓄積したデータの本格活用を進める方針です。 マーケティングプラン、商品企画、需要予測の精度向上につなげるとしています。

「CW360」で外部パートナーとの連携も強化

「Connect with 360」を意味する「CW360」という部署も新設されています。 時間や予算などの制約から従来手を伸ばしにくかった領域へ、グループ全体の視点でアプローチし、パートナー、プロジェクト、協業、提携などにつなげる狙いです。

約6,000億円の成長投資と資本政策

中期計画では、約6,000億円の成長投資を計画しています。 内容は、ゲームや映像制作など原価として計上される投資、金型など事業に必要な設備投資、そして「360」投資で構成されます。

ここで重要なのは、すべてを短期で回収する投資とは位置付けていないことです。 会社は、中期計画期間中に成果が出るものだけでなく、中長期で持続的に成長を続けることを重視するとしています。

ROEだけでなく資本コストも意識

資本政策ではEPSとエクイティスプレッドを意識し、ROEの上昇に注力する方針です。 会社は現状の資本コストを8%程度と認識し、エクイティスプレッドを継続的に5%以上とすることを目指しています。

「IPに投資する会社」から「資本効率も管理する会社」へ

IPビジネスでは、ゲーム開発や映像制作のように成果が出るまで時間がかかる投資が少なくありません。 一方で投資額が大きくなれば、どれだけ利益を生み、資本コストを上回るリターンを出せるかも重要になります。 中期計画でROE、EPS、エクイティスプレッドまで明示している点は、今後のIRを見るうえで重要なチェック項目です。

弱み・リスク|何が業績を左右する?

1.大型ゲーム・映像作品の発売時期とヒット

デジタル事業では前年同期との大型新作タイトルの編成差が業績へ影響しました。 映像音楽事業でも前年同期の劇場興行・配信ヒットの反動が出ています。 四半期業績は作品投入のタイミングで大きく動く可能性があります。

2.IP人気と消費者嗜好の変化

IP軸戦略は、人気IPが複数事業へ貢献できることが強みです。 その反面、ファンの嗜好が変われば、同じIPを使う複数カテゴリーへ影響が及ぶ可能性もあります。 会社側も市場・顧客のライフスタイルや嗜好の変化、グローバル市場での競争激化を事業環境として認識しています。

3.原材料価格・物価・供給体制

トイホビーではプラスチックなどの原材料を使用する商品も多く、原材料価格や物価の変動は無視できません。 会社は生産体制や流通の強化にも取り組んでいます。

4.海外展開に伴う不確実性

海外での売上拡大は成長機会である一方、関税、為替、各地域の競争環境などの影響を受けます。 2027年3月期1Qでは北米子会社で米国追加関税に係る還付金を計上しており、政策・貿易環境が利益へ影響し得ることも分かります。

5.大型投資の回収

中期計画では約6,000億円の成長投資を予定しています。 新IP、ゲーム、映像、設備などへの投資が長期的な利益につながるかは、今後の重要な評価ポイントです。

今後の決算で見るべきポイント

バンダイナムコの決算を読む際は、連結売上高だけを見るより、次のような項目を継続的に確認した方が事業構造の変化を把握しやすくなります。

トイホビー利益

今1Qの高い利益水準がどこまで継続するか。

ゲームのタイトル編成

大型新作発売の有無と、主力アプリの継続運営がどう推移するか。

IPの海外展開

ガンダムなど日本発IPが海外で商品・映像・ライセンスへどこまで広がるか。

新しいIPの育成

既存の定番IPだけでなく、将来の柱となるIPを生み、育てられるか。

投資効率

約6,000億円の成長投資が売上・利益・ROE向上へつながるか。

事業間連携

映像、ゲーム、玩具、店舗などの連携が実際の成長へつながっているか。

第2四半期累計予想は修正、通期予想は据え置き

2027年3月期第1四半期決算時点では、第2四半期累計の業績予想を売上高6,900億円、営業利益1,240億円、経常利益1,300億円、親会社株主に帰属する純利益900億円としています。 一方、通期予想は売上高1兆3,500億円、営業利益1,850億円、経常利益1,900億円、親会社株主に帰属する当期純利益1,300億円です。

1Qが好調でも通期を単純に4倍しない

エンターテインメント企業は、ゲーム発売、映像作品、商品投入、年末商戦などによって四半期ごとの収益構成が変わります。 1Q営業利益692億円を単純に4倍して通期利益を予想するような見方は適切ではありません。 会社の通期予想と、今後のタイトル・商品編成を合わせて確認する必要があります。

まとめ|バンダイナムコは結局何で稼いでいる?

バンダイナムコは、IPを核として、玩具・カード・ゲーム・映像音楽・リアル施設などへ横断的に展開し、一つのIPから複数の収益機会を作る会社です。

2027年3月期第1四半期では、トイホビー事業が売上高1,927億60百万円、セグメント利益539億44百万円と最大の稼ぎ頭でした。 ガンプラ、一番くじ、トレーディングカード、ガシャポン、菓子・食品、ステイショナリーなど幅広いカテゴリーが国内外で好調だったことに加え、ガンダム、DRAGON BALL、ONE PIECE、たまごっちなど定番IPが寄与しています。

一方で、バンダイナムコの企業価値をトイホビーだけで説明することもできません。 ゲームは継続的なファン接点となり、映像音楽はIP創出やライセンスの起点となり、アミューズメント施設はリアルなタッチポイントとして機能します。 各事業を別々に見るより、「IPを作る→広げる→育てる→さらに別の接点へつなぐ」という循環で理解することが、バンダイナムコのビジネスモデルを理解する近道です。

この記事の結論

「バンダイナムコは何で稼ぐ?」への答えは、単に「ゲーム」でも「ガンプラ」でもありません。多彩なIPを、多彩な商品・サービス・地域へ展開できるIP軸戦略そのものが、同社の収益構造の中核です。

よくある疑問

バンダイナムコは何の会社ですか?

トイホビー、デジタル、映像音楽、アミューズメントを主要事業とし、IPを複数の商品・サービスへ展開する総合エンターテインメント企業です。

バンダイナムコは何で稼いでいますか?

2027年3月期第1四半期ではトイホビー事業が売上高・セグメント利益とも4主要事業で最大でした。デジタル事業も大きな収益源です。

バンダイナムコの稼ぎ頭はゲームですか?

少なくとも参照した2027年3月期1Qでは、ゲームを含むデジタル事業よりトイホビー事業の利益が大きく、最大の稼ぎ頭はトイホビーでした。

IP軸戦略とは何ですか?

IPの世界観や特性を活かし、最適なタイミングで、最適な商品・サービスとして、最適な地域に提供することでIP価値の最大化を目指す戦略です。

トイホビー事業では何を売っていますか?

ガンプラ、一番くじ、トレーディングカードゲーム、ガシャポン、菓子・食品、ステイショナリーなど幅広い商品を展開しています。

バンダイナムコの強みは何ですか?

多彩なIPに加え、玩具、カード、ゲーム、映像、音楽、店舗など幅広いカテゴリーを持ち、IPを事業横断で長期的に育てられる点が特徴です。

アミューズメント事業は何のためにありますか?

施設として売上を得るだけでなく、Cross Store、ガシャポンのデパート、公式ショップなどを通じ、グループの商品・サービスの認知を拡大するファンとのタッチポイントとしての役割も担っています。

バンダイナムコの今後の成長ポイントは何ですか?

IPの海外展開、商品カテゴリー拡大、新しいIPの創出・長期育成、データ活用、外部パートナーとのアライアンス、約6,000億円の成長投資を成果につなげられるかが重要です。

参考資料

  • 株式会社バンダイナムコホールディングス「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年8月6日公表)
  • 主な実績対象期間:2026年4月1日~2026年6月30日
  • 記事内の「単純利益率」等は、IR記載数値を基に当サイトが計算した参考値です。