この記事で確認した古河電工のIR資料

一次情報は、古河電気工業株式会社が2026年8月6日に公表した 「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」と 「古河電工グループ 2026年度第1四半期決算」です。 決算数値、セグメント別の売上高・営業利益、製品例、業績予想、 設備投資、減価償却費、研究開発費を確認しています。

記事中の「FY26」は会社資料の年度表記で、2026年4月から2027年3月までの年度を示します。 金額は読みやすさを優先して、主に会社の決算説明資料と同じ億円単位で記載しています。

結論|古河電工の稼ぎ方を5点で整理

売上の柱

売上規模ではメタルソリューションと自動車電装システムが大きい。

利益の柱

第1四半期の営業利益は光ソリューションと情報コンポーネントが中心。

成長要因

データセンター向け光通信、放熱・冷却、光半導体関連の需要増。

注意点

銅価と為替で売上が膨らむため、増収だけでは実力を判断できない。

次の焦点

大型設備投資が供給能力と利益成長へつながるかを継続確認する。

古河電工の決算で最も重要なのは、売上高の大きい事業と利益を稼ぐ事業が異なる点です。 したがって、全社売上だけでなく、セグメント別営業利益、利益率、銅価・為替の影響、設備投資の進捗を組み合わせて読む必要があります。

古河電工は何で稼ぐ会社なのか

古河電工を一言で説明すると、電気や情報を「つなぐ・伝える・冷やす」ための 素材、部品、ケーブル、システムを企業向けに販売して稼ぐ会社です。 売上は1つの商品に依存せず、光通信、データセンター、電力、自動車、電子部品、 金属材料など複数の市場から生まれます。

光通信

光ファイバ、光ケーブル、コネクタなどを通信網やデータセンター向けに供給します。

データセンター

放熱・冷却製品、光半導体、高周波基板用銅箔などを供給します。

電力・自動車

電力ケーブル、送配電部品、ワイヤハーネス、高電圧対応品を販売します。

金属材料

銅条、導電材、無酸素銅、高機能抵抗材などを販売します。

2027年3月期第1四半期は、データセンター関連製品の売上増などにより、 売上高3,652億円、営業利益255億円となりました。 売上高と各段階利益は、第1四半期実績として2001年度以降の過去最高値と説明されています。

古河電工のビジネスモデル|素材・部品・ケーブルを企業向けに販売

古河電工のビジネスモデルは、銅、アルミ、樹脂、ガラスなどを用いて、 通信、電力、自動車、電子機器に必要な素材・部品・ケーブルを開発・製造し、 法人顧客へ販売する形です。売上は製品数量だけでなく、製品構成、原材料価格、 為替、工事やプロジェクトの進行、顧客の生産・設備投資にも左右されます。

flowchart LR A["素材・部材
銅・アルミ・樹脂・ガラス等"] --> B["研究開発・製品設計"] B --> C["製造・加工・組立"] C --> D["光通信・データセンター"] C --> E["電力インフラ"] C --> F["自動車"] C --> G["電子機器・半導体"] D --> H["製品販売・売上高"] E --> H F --> H G --> H H --> I["売上原価・販管費を控除"] I --> J["営業利益"]

光通信や電子部品のように高付加価値製品の数量・構成が利益を動かす事業がある一方、 メタルソリューションのように銅価格の変動が売上高へ大きく表れる事業もあります。 全社の売上増加を、そのまま販売数量や利益の増加と解釈しないことが重要です。

古河電工の6つの事業セグメントと主な製品

セグメント主な事業・製品主な需要先
光ソリューション光ファイバ、光ケーブル、ローラブルリボンケーブル、MTフェルール、VSFFコネクタ、特殊ファイバ通信事業者、データセンター、海底通信・光増幅用途など
情報コンポーネント放熱・冷却製品、水冷モジュール、高周波基板用銅箔、光半導体、半導体製造用テープ、電子部品データセンター、半導体、電子機器、ストレージ関連市場
エネルギーインフラ国内超高圧・地中線、海底線、機能線、送配電部品、HVDC関連電力会社、再生可能エネルギー、インフラ事業者
自動車電装システムアルミワイヤハーネス、高電圧対応品など自動車メーカー、電動車関連市場
メタルソリューション銅条、導電材、無酸素銅、高機能抵抗材、リボン線・角線、超電導関連半導体、放熱部品、スマートフォン、xEV、電子部品
サービス・開発等水力発電、新製品の研究開発、不動産賃貸、各種業務受託、グループ事業支援グループ内外の事業活動

2027年3月期第1四半期から事業セグメントの区分方法が変更されており、 前年同期の数値は変更後の区分に組み替えて比較されています。

古河電工の製品は誰に売れるのか

資料から読み取れる需要先は、通信事業者、データセンター運営・設備関連企業、 電力会社、自動車メーカー、半導体・電子機器関連企業などです。 一般消費者向けの完成品よりも、他社の設備や製品の中に組み込まれる BtoB向け素材・部品・ケーブルが中心と考えると理解しやすくなります。

個別の顧客名や顧客別売上は開示されていない

今回の決算短信と決算説明資料では、セグメント別の需要環境や製品例は説明されていますが、 上位顧客名、顧客別売上高、契約期間、受注残高の詳細は示されていません。 特定企業への販売を推測で補うことはできません。

古河電工のセグメント別売上高|何が主力事業なのか

2027年3月期第1四半期の外部顧客向け売上高をセグメント別に見ると、 メタルソリューションが1,217億円で最大です。 次いで自動車電装システム920億円、光ソリューション600億円、 情報コンポーネント596億円となっています。

セグメントFY26 Q1売上高前年同期比構成比
光ソリューション600億円45.6%増約16.4%
情報コンポーネント596億円32.8%増約16.3%
エネルギーインフラ360億円9.7%増約9.9%
自動車電装システム920億円10.9%増約25.2%
メタルソリューション1,217億円55.0%増約33.3%
サービス・開発等113億円60.0%減約3.1%
連結消去△153億円
連結合計3,652億円24.3%増100.0%

構成比はセグメント売上高を連結売上高で割った編集部計算であり、 セグメント間取引の消去前後の関係で各事業の単純合計は連結売上高と一致しません。 また、メタルソリューションの売上増には銅価・為替変動の影響が含まれます。

古河電工の利益はどの事業から生まれるか

第1四半期の営業利益では、光ソリューションが92億円、 情報コンポーネントが74億円、自動車電装システムが64億円となりました。 売上高が最大のメタルソリューションの営業利益は8億円であり、 売上規模が最大の事業と利益貢献が大きい事業は一致していません。

セグメントFY26 Q1営業利益前年同期変化
光ソリューション92億円△7億円99億円改善
情報コンポーネント74億円36億円38億円増
エネルギーインフラ30億円9億円21億円増
自動車電装システム64億円53億円11億円増
メタルソリューション8億円8億円ほぼ横ばい
サービス・開発等△11億円△14億円3億円改善
連結合計255億円83億円171億円増

会社資料の営業利益増減要因では、売上増による改善が114億円、 改善効果等が93億円、為替が19億円のプラス要因でした。 一方、その他固定費は53億円のマイナス要因で、そのうち人件費が26億円の負担増でした。

古河電工のセグメント別利益率|どの事業の稼ぐ力が強いのか

売上高だけでは事業の稼ぐ力は分かりません。そこで、FY26第1四半期のセグメント営業利益を セグメント売上高で割り、編集部計算の営業利益率を比較します。

セグメント売上高営業利益営業利益率
光ソリューション600億円92億円約15.3%
情報コンポーネント596億円74億円約12.4%
エネルギーインフラ360億円30億円約8.3%
自動車電装システム920億円64億円約7.0%
メタルソリューション1,217億円8億円約0.7%

第1四半期では、光ソリューションと情報コンポーネントの利益率が相対的に高く、 メタルソリューションは売上規模が最大でも利益率は低い結果でした。 この差から、古河電工の企業価値を見る際は「売上構成」よりも 高付加価値製品の構成比がどこまで高まるかが重要だと読み取れます。

利益率の読み方

ここで示した利益率は四半期実績の単純計算です。季節性、セグメント間取引、会計上の配賦などにより、通期の利益率とは異なる場合があります。

古河電工の増益の質|数量・改善・市況を分けて読む

営業利益は前年同期比171億円増えましたが、増益要因は1つではありません。 会社資料では、売上増による改善114億円、改善効果等93億円、為替19億円がプラス要因、 その他固定費53億円がマイナス要因でした。

要因営業利益への影響読み方
売上増+114億円需要増や製品構成の改善を含む中核的な増益要因
改善効果等+93億円価格、採算、コスト改善などの継続性を次四半期で確認
為替+19億円事業の競争力とは別に相場変動で生じる利益
その他固定費△53億円人件費や成長投資に伴う費用負担

重要なのは、為替だけでなく売上増と改善効果が大きく寄与している点です。 一方で、次回決算では、増益が一時的な市況要因に偏っていないか、固定費増を吸収できるかを確認する必要があります。

古河電工はデータセンター関連製品で何を売るのか

古河電工のデータセンター関連需要は、1つのセグメントだけに入っているわけではありません。 光を使って大量のデータを送る製品は光ソリューション、 サーバーの熱を逃がす製品や光半導体、高周波基板用銅箔などは 情報コンポーネントに含まれます。

光ケーブル・接続部品

ローラブルリボンケーブル、MTフェルール、VSFFコネクタなど。

特殊ファイバ

海底用・アンプ用など、用途に応じた特殊な光ファイバ。

放熱・冷却製品

水冷モジュールを含む、サーバーの熱対策に関係する製品。

光半導体・銅箔

DFBレーザ、励起光源、SOA、高周波基板用銅箔など。

2027年3月期第1四半期は、データセンター関連製品の売上増が 光ソリューションと情報コンポーネントの増収増益に寄与しました。 通期予想でも、データセンター関連製品の需要は引き続き旺盛とされています。

光ソリューションは何で稼ぐのか

光ソリューションは、光ファイバ、光ケーブル、コネクタ、特殊ファイバなど、 大量のデータを高速で伝送するための製品を販売します。 データセンター、通信網、海底通信、光増幅用途などの需要が売上に関係します。

第1四半期は売上高600億円、営業利益92億円でした。 前年同期は7億円の営業損失だったため、99億円改善しています。 会社は増益要因として、データセンター関連製品等の売上増を挙げています。

通期予想

FY26通期の売上高予想は2,650億円、営業利益予想は430億円です。 前回予想から売上高を250億円、営業利益を160億円引き上げています。

情報コンポーネントは何で稼ぐのか

情報コンポーネントは、放熱・冷却製品、水冷モジュール、光半導体関連製品、 高周波基板用銅箔、半導体製造用テープ、HDD用薄型アルミブランク材、 高機能フォーム製品などを販売します。

第1四半期は売上高596億円、営業利益74億円でした。 データセンター関連製品等の売上増により、前年同期比で増収増益となりました。 会社は、水冷モジュールの増産、高周波基板用銅箔への製品ミックス転換、 光半導体関連製品の増産を注力ポイントとして示しています。

通期予想

FY26通期の売上高予想は3,250億円、営業利益予想は510億円です。 前回予想から売上高を150億円、営業利益を120億円引き上げています。

エネルギーインフラは何で稼ぐのか

エネルギーインフラは、国内超高圧・地中線、海底線、機能線、送配電部品、 HVDC関連製品などを扱います。電力網の更新、再生可能エネルギー接続、 送配電設備への投資が需要に関係します。

第1四半期は売上高360億円、営業利益30億円でした。 国内地中線・機能線の堅調な売上や中国子会社の連結除外等により、 前年同期比で増収増益となりました。

FY26通期予想は売上高1,300億円、営業利益70億円です。 資料では、ケーブル製造・工事施工能力の増強と、マーケティング活動による拡販を 注力ポイントとしています。

自動車電装システムは何で稼ぐのか

自動車電装システムは、自動車内で電力や信号を伝えるワイヤハーネスを中心に、 アルミワイヤハーネスや高電圧対応品などを販売します。 自動車生産台数、電動車市場、顧客の車種構成が売上を左右します。

第1四半期は売上高920億円、営業利益64億円でした。 堅調な需要が続き、前年同期比で増収増益となりました。 FY26通期予想は売上高3,600億円、営業利益230億円です。

会社は、米国関税政策への対応、組立自動化の推進、 電動車市場に向けた製品開発を注力ポイントとして挙げています。

メタルソリューションは何で稼ぐのか

メタルソリューションは、銅条・高機能材、導電材、無酸素銅、 高機能抵抗材、リボン線・角線、超電導関連などを扱います。 半導体、放熱部品、スマートフォン、xEV、電子部品などに使われます。

第1四半期は売上高1,217億円で全セグメント中最大でしたが、 営業利益は8億円で前年同期とほぼ同水準でした。 売上高の55.0%増には銅価・為替変動の影響が含まれます。

FY26通期予想は売上高4,750億円、営業利益40億円です。 会社は、エレクトロニクス関連製品需要の緩やかな回復と、 高付加価値製品の拡販による製品ミックス改善を注力点としています。

銅価格と為替が古河電工の売上・利益に与える影響

古河電工の決算では、銅建値と為替を分けて確認する必要があります。 FY26第1四半期の銅建値平均は1kg当たり2,220円で、 前年同期の1,424円から796円上昇しました。 為替平均は1米ドル160円で、前年同期の145円から15円の円安でした。

指標FY25 Q1FY26 Q1増減
銅建値平均1,424円/kg2,220円/kg796円上昇
為替平均145円/米ドル160円/米ドル15円の円安

会社の売上高増減要因では、地金価格の変動が281億円、 為替が149億円の増収要因でした。 ただし、原材料価格上昇で売上高が増えても、仕入コストも変化するため、 同じ金額がそのまま営業利益へ残るわけではありません。

古河電工の第1四半期決算|売上高・営業利益が大幅増加

項目FY25 Q1FY26 Q1前年同期比
売上高2,937億円3,652億円24.3%増
売上総利益493億円673億円約180億円増
営業利益83億円255億円205.4%増
営業利益率2.8%7.0%4.1ポイント改善
経常利益77億円310億円304.0%増
親会社株主に帰属する四半期純利益51億円222億円335.0%増

経常利益の増加には、営業利益の改善だけでなく、 持分法による投資利益が21億円から59億円へ増えたことや、 為替差損が23億円から5億円へ縮小したことも影響しています。

売上高3,652億円に対する売上総利益は673億円で、 売上総利益率は約18.4%です。販売費及び一般管理費は418億円、 営業利益率は7.0%でした。

古河電工の通期業績予想|データセンター需要で上方修正

会社は第1四半期実績と事業環境を踏まえ、2027年3月期の通期業績予想を引き上げました。 主に光ソリューションと情報コンポーネントで、 データセンター関連製品の需要増による売上拡大を見込んでいます。

項目前回予想修正後予想修正額
売上高1兆4,600億円1兆5,300億円700億円増
営業利益950億円1,230億円280億円増
経常利益1,000億円1,430億円430億円増
親会社株主に帰属する当期純利益820億円1,050億円230億円増

通期営業利益予想1,230億円のうち、光ソリューションは430億円、 情報コンポーネントは510億円を見込んでいます。 この2事業の合計が全社営業利益計画の中心です。

配当予想

2026年7月1日付の1株を10株とする株式分割を考慮した 2027年3月期の年間配当予想は1株当たり22円で、会社は予想を据え置いています。

古河電工の設備投資・減価償却・研究開発

古河電工は複数の製造設備と研究開発を必要とする事業を持っています。 FY26第1四半期の設備投資額は205億円、減価償却費は106億円、 研究開発費は66億円でした。

項目FY25 Q1FY26 Q1FY26通期予想
設備投資額89億円205億円1,500億円
減価償却費104億円106億円460億円
研究開発費76億円66億円300億円

通期設備投資計画では、放熱・冷却製品に約450億円、 HVDC関連に約160億円、DFBレーザ関連に約70億円が示されています。 第1四半期の内訳としては、放熱・冷却製品約70億円、 HVDC関連約30億円が示されています。

flowchart LR A["設備投資"] --> B["製造能力・製品供給力"] B --> C["放熱・冷却製品"] B --> D["DFBレーザ関連"] B --> E["HVDC関連"] A --> F["有形固定資産の増加"] F --> G["将来の減価償却費"] C --> H["将来の売上・利益"] D --> H E --> H

設備投資額は当期の費用と同じではありません。 設備取得時は資産として計上され、その後の利用期間にわたり減価償却費として 損益へ反映されます。投資の増加だけで将来の利益増加を断定することはできません。

古河電工の設備投資は将来利益につながるのか

通期設備投資計画1,500億円は、FY26通期営業利益予想1,230億円を上回る規模です。 ただし、設備投資は当期費用ではなく、将来の供給能力を増やすための資産取得です。 投資評価では「投資額が大きいか」ではなく、どの需要に対応し、売上と利益へどう変わるかを見る必要があります。

投資先通期計画確認すべき成果
放熱・冷却製品約450億円水冷モジュール等の供給能力、売上増、情報コンポーネント利益率
HVDC関連約160億円ケーブル製造・施工能力、案件獲得、エネルギーインフラ利益
DFBレーザ関連約70億円光半導体の増産、データセンター需要、製品ミックス改善

投資が成功する条件は、需要の継続、設備稼働率の上昇、高付加価値製品の販売拡大です。 反対に、需要鈍化や立ち上げ遅延が起きると、現金支出と将来の減価償却費が先行します。 そのため、設備投資額だけでなく、セグメント売上、営業利益率、有形固定資産、減価償却費を時系列で追うことが重要です。

古河電工の棚卸資産と運転資本

FY26第1四半期末の棚卸資産は2,246億円で、 2026年3月期末の2,109億円から137億円増加しました。 売上の伸長に伴い、売掛金などを含む運転資本も増えています。

項目FY25末FY26 Q1末増減
現金及び預金692億円607億円84億円減
受取手形・売掛金・契約資産2,665億円2,908億円244億円増
棚卸資産2,109億円2,246億円137億円増
有形固定資産2,769億円2,890億円121億円増
総資産1兆664億円1兆1,313億円649億円増

第1四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成されていません。 そのため、棚卸資産や売掛金の増加が営業キャッシュ・フローへ与えた正確な金額は、 今回の決算短信だけでは確認できません。

NET有利子負債は2,475億円から2,921億円へ増加し、 NET D/Eレシオは0.59倍から0.67倍へ上昇しました。 自己資本比率は39.1%から38.6%へ0.5ポイント低下しています。

古河電工の収益構造上の特徴

複数市場へ分散

通信、データセンター、電力、自動車、半導体、電子部品へ供給します。

高付加価値製品

光通信、放熱・冷却、光半導体などが利益拡大を支えます。

インフラ需要

通信網、電力網、自動車の電装化など長期的な設備需要に関係します。

素材価格の影響

銅価格による売上変動が大きく、売上と利益を分けて読む必要があります。

2027年3月期第1四半期では、光ソリューションと情報コンポーネントの利益改善が 全社増益の中心となりました。一方で、メタルソリューションは売上規模が大きいものの、 利益率は相対的に低く、事業ごとに収益性が大きく異なります。

この決算資料から確認できるのは、事業構成、製品例、売上高、営業利益、 投資計画などです。市場シェア、顧客評価、製品別利益率、特許価値などを基にした 競合優位性までは、この資料だけでは断定できません。

古河電工を競合比較するときの3つの軸

電線・通信・自動車部品企業との比較では、会社全体の売上高だけを並べても実態は見えません。 事業構成が異なるため、次の3軸に分けると比較しやすくなります。

成長領域

光通信、データセンター冷却、光半導体などの売上・利益成長。

収益性

全社利益率ではなく、主要セグメントごとの営業利益率を比較する。

投資負担

設備投資、減価償却、在庫、有利子負債が利益成長と釣り合うかを見る。

今回確認した資料だけでは、他社の同時点の数値や製品別シェアは示されていません。 そのため本記事では競合優位性を断定せず、比較時に確認すべき指標を整理しています。

古河電工の今後を左右する3つの業績シナリオ

シナリオ起こり得る変化確認指標
上振れデータセンター需要が継続し、増産設備の稼働と高付加価値品の販売が進む光・情報コンポーネントの売上、利益率、上方修正
標準需要は堅調だが、固定費・減価償却費の増加も進み、計画線で推移する通期計画進捗、固定費、減価償却費
下振れ需要鈍化、設備立ち上げ遅延、銅価・為替変動、運転資本増が重なる在庫、売掛金、有利子負債、利益率、業績修正

これは会社予想ではなく、開示資料の事業要因を基に編集部が整理した分析フレームです。 次回決算では、どのシナリオに近づいているかを複数指標で判断します。

古河電工の業績を左右するリスク

データセンター需要

光通信・冷却関連の需要鈍化や顧客投資の延期が影響する可能性があります。

銅価格

銅建値の変化がメタルソリューションを中心に売上高を大きく動かします。

為替

円相場の変動が海外売上、原材料費、利益の換算に影響します。

自動車生産

顧客の自動車生産台数、電動車需要、関税政策が事業環境を左右します。

設備投資負担

投資拡大は現金支出と将来の減価償却費につながります。

運転資本

売掛金や棚卸資産の増加により資金負担が増える場合があります。

会社資料では、経済情勢、企業の設備投資、為替、急速な技術革新、 貿易規制、有価証券の時価変動なども将来予想に関する不確実性として示されています。

古河電工の決算で継続的に確認したい指標

  • データセンター関連製品の売上:光通信・放熱冷却需要の方向を確認する
  • 光ソリューション営業利益:高付加価値光製品の採算改善を見る
  • 情報コンポーネント営業利益:水冷・光半導体・銅箔の成長を確認する
  • メタルソリューションの売上と利益:銅価による増収と実質的な採算を分ける
  • 銅建値:地金価格による売上変動を確認する
  • 為替:円安・円高が売上と利益へ与える影響を見る
  • 持分法投資損益:経常利益と営業利益の差を確認する
  • 棚卸資産・売掛金:売上増に伴う運転資本負担を見る
  • 設備投資額:放熱冷却、DFBレーザ、HVDCへの投資進捗を確認する
  • 減価償却費:過去の投資が費用へ反映される規模を見る
  • NET有利子負債:投資と運転資本に伴う財務負担を確認する
  • 通期業績予想:上方修正した利益計画の進捗を見る

古河電工のビジネスモデル・決算に関するよくある疑問

古河電工は何で稼いでいる会社ですか?

古河電工は、光ファイバ・光コネクタなどの光通信関連製品、データセンター向け放熱・冷却製品や光半導体、電力ケーブル、自動車用ワイヤハーネス、銅条・導電材などを販売して売上を得ています。2027年3月期第1四半期は、データセンター関連製品の売上増が全社の増収増益をけん引しました。

古河電工の主力事業は何ですか?

2027年3月期第1四半期の外部顧客向け売上高では、メタルソリューションが1,217億円で最大でした。次いで自動車電装システム920億円、光ソリューション600億円、情報コンポーネント596億円です。ただし、売上規模が最大の事業と利益貢献が最大の事業は同じとは限りません。

古河電工はデータセンター向けに何を販売していますか?

資料では、光ソリューションのローラブルリボンケーブル、MTフェルール・VSFFコネクタ、特殊ファイバに加え、情報コンポーネントの水冷モジュール、高周波基板用銅箔、光半導体関連製品、放熱・冷却製品などが示されています。

古河電工の利益が増えた理由は何ですか?

2027年3月期第1四半期は、データセンター関連製品の売上増、改善効果、為替の影響などにより営業利益が前年同期比171億円増加しました。特に光ソリューションと情報コンポーネントの改善が大きく寄与しています。

古河電工の売上は銅価格でなぜ変動しますか?

メタルソリューションなどでは銅を扱うため、銅建値の変動が売上高に反映されます。銅価格の上昇による増収が、そのまま同額の利益増加を意味するわけではない点に注意が必要です。

古河電工の自動車向け製品は何ですか?

決算説明資料では、自動車電装システムの注力製品としてアルミワイヤハーネスや高電圧対応品が示されています。顧客の自動車生産台数、電動車市場、米国関税政策などが事業環境に関係します。

古河電工の設備投資は何に使われますか?

2026年度の設備投資計画は1,500億円で、資料では放熱・冷却製品、DFBレーザ関連、HVDC関連などへの投資が示されています。第1四半期の設備投資額は205億円でした。

古河電工の決算で確認すべき指標は何ですか?

データセンター関連製品の売上、光ソリューションと情報コンポーネントの営業利益、銅建値、為替、棚卸資産、設備投資、減価償却費、持分法投資損益などを継続して確認することが重要です。

古河電工の利益率が高い事業はどこですか?

FY26第1四半期の編集部計算では、光ソリューションの営業利益率が約15.3%、情報コンポーネントが約12.4%でした。売上最大のメタルソリューションは約0.7%で、売上規模と収益性には大きな差があります。

古河電工の設備投資で注目すべき分野は何ですか?

放熱・冷却製品、HVDC関連、DFBレーザ関連です。投資額だけでなく、増産後の売上高、セグメント利益率、減価償却費、有利子負債を併せて確認する必要があります。

まとめ|古河電工は光通信・データセンター・電力・自動車・銅製品で稼ぐ

古河電工は、光通信、データセンター、電力インフラ、自動車電装、 金属材料など複数の事業を持つBtoB企業です。 売上高ではメタルソリューションと自動車電装システムの比率が大きい一方、 第1四半期の利益改善は光ソリューションと情報コンポーネントが中心でした。

2027年3月期第1四半期は、データセンター関連製品の売上増などにより、 売上高3,652億円、営業利益255億円となりました。 通期では売上高1兆5,300億円、営業利益1,230億円を見込んでいます。

古河電工の業績を見る際は、売上高だけでなく、 データセンター関連製品の数量・製品構成、事業別営業利益、銅建値、為替、 設備投資、棚卸資産、持分法投資損益をつなげて確認することが重要です。

参考資料

  • 古河電気工業株式会社 「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」 (公表日:2026年8月6日、対象期間:2026年4月1日~2026年6月30日)
  • 古河電気工業株式会社 「古河電工グループ 2026年度第1四半期決算」 (公表日:2026年8月6日)
  • 連結業績・業績予想:決算短信1~3ページ
  • セグメント別実績:決算短信2・8ページ、決算説明資料11~15・20ページ
  • 売上高・営業利益の増減要因:決算説明資料6~7ページ
  • 通期業績予想:決算説明資料8~10・21ページ
  • 財政状態・棚卸資産:決算短信4~5ページ、決算説明資料16ページ
  • 設備投資・減価償却・研究開発:決算説明資料17ページ
  • セグメントと事業部門:決算説明資料22ページ

編集部計算

セグメント別売上構成比、売上総利益率などは公表数値を基に編集部が計算しています。 億円表示は百万円単位の決算短信または会社の億円表示を基にし、 端数を丸めているため差額が生じる場合があります。