3分でわかるJX金属|この記事の結論

  • 何で稼ぐ?:半導体・AIデータセンター向けの高機能材料と、銅鉱山・製錬・リサイクルで稼ぎます。
  • 売上が大きい事業:第1四半期は基礎材料が1,237億円で最大です。
  • 利益率が高い事業:単純計算では半導体材料が約27.6%、情報通信材料が約14.1%、基礎材料が約45.9%です。ただし基礎材料には権益売却益など一過性要因を含みます。
  • 成長ドライバー:AIサーバ、先端半導体、HDD、光通信、コネクタ向け材料の販売増加です。
  • 注意点:銅価格、為替、鉱山生産量、一過性利益によって業績が大きく変わります。

この記事で確認したJX金属のIR資料

一次情報は、JX金属株式会社が2026年8月6日に公表した 「2027年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」と 「2027年3月期 第1四半期 決算説明資料」です。 セグメント別売上高・営業利益、主力製品の販売数量、AIデータセンター関連用途、 生産能力増強、銅価・為替、財政状態、キャッシュフロー、通期見通しを確認しています。

会社資料では、半導体材料と情報通信材料を「フォーカス事業」、 基礎材料を「ベース事業」として整理しています。 本記事でも、この区分を用いて収益構造を説明します。

JX金属は何で稼ぐ会社なのか

JX金属を一言で説明すると、半導体・データセンター・スマートフォンなどに使われる 高機能材料と、銅鉱山・製錬・リサイクル事業で稼ぐ会社です。 先端材料の販売数量・販売単価による利益と、銅価格・為替・鉱山生産量に左右される利益を あわせ持つ点が特徴です。

半導体材料

半導体用ターゲット、InP基板、磁性材ターゲット、タンタル粉末など。

情報通信材料

圧延銅箔、チタン銅、電磁波シールドフィルム、電線関連など。

基礎材料

銅鉱山権益、電気銅、貴金属、硫酸、リサイクル・製錬など。

AIデータセンター

GPU、SSD、HDD、光通信、電源、コネクタ周辺へ複数の材料を供給します。

2027年3月期第1四半期は、売上高2,606億円、営業利益814億円となりました。 円安と銅価上昇、一部鉱山権益の売却益に加え、 半導体用ターゲットや圧延銅箔などの増販が業績へ寄与しています。

JX金属のビジネスモデル|高機能材料と銅資源の二つの収益源

JX金属のビジネスモデルは、大きく二つに分けられます。 一つは、半導体や情報通信機器に必要な高純度・高機能材料を開発・製造し、 法人顧客へ販売するフォーカス事業です。 もう一つは、銅鉱山への出資、銅精鉱・電気銅、貴金属、リサイクルなどを扱う基礎材料事業です。

flowchart LR A["研究開発・材料技術"] --> B["半導体材料"] A --> C["情報通信材料"] D["鉱山権益・リサイクル原料"] --> E["銅精鉱・電気銅・貴金属"] B --> F["半導体・AIサーバ・SSD・HDD"] C --> G["スマートフォン・サーバ・FPC・コネクタ"] E --> H["電線・電子部品・産業用途"] F --> I["売上高"] G --> I H --> I I --> J["売上原価・販管費等"] J --> K["営業利益"]

フォーカス事業では、販売数量、製品構成、販売単価、生産能力が利益を左右します。 基礎材料では、銅価格、為替、鉱山生産量、製錬マージン、資源権益の売却などが 業績を大きく動かします。

JX金属の3つの事業セグメント

セグメント位置付け主な製品・事業
半導体材料フォーカス事業半導体用スパッタリングターゲット、磁性材ターゲット、InP基板、CVD・ALD用材料、タンタル粉末など
情報通信材料フォーカス事業圧延銅箔、チタン銅、超微粉ニッケル、電磁波シールドフィルム、電線、チタン関連など
基礎材料ベース事業銅鉱山権益、銅精鉱、電気銅、型銅、貴金属、硫酸、リサイクル・受託製錬など

決算短信では、製品・サービスの特性と販売市場の類似性を基に、 「半導体材料」「情報通信材料」「基礎材料」の3つを報告セグメントとし、 その他の事業を「その他」に区分しています。

JX金属は何を売っているのか

製品役割最終用途例
半導体用ターゲット半導体ウエハ上に金属薄膜を形成する材料データセンター、PC、スマートフォン向け半導体
磁性材ターゲット磁気記録メディア上に金属薄膜を形成データセンター向けHDD、磁気センサ
InP基板光と電気を変換する受発光素子の基板データセンター向け光通信
CVD・ALD用材料半導体配線などの薄膜形成材料先端半導体、メモリ
タンタル粉末ターゲットやタンタルキャパシタの材料半導体、データセンター、PC
圧延銅箔FPC向け導電材料スマートフォン、ウェアラブル、ロボット、医療機器
チタン銅高強度・高機能のコネクタ、ばね材料AIサーバ向けコネクタ、カメラモジュール
電気銅・貴金属電線・電子材料などの基礎素材電力、電子機器、産業用途

JX金属の製品はどこで使われるのか

JX金属の製品は、一般消費者が直接購入する完成品ではなく、 半導体メーカー、電子部品メーカー、基板・コネクタメーカー、 通信機器、ストレージ、電線・産業機器などの製造工程に組み込まれる材料が中心です。

半導体

ロジック半導体、メモリ、GPU、HBM、パッケージ周辺で材料が使われます。

データ保存

SSD、HDD、DRAM、タンタルキャパシタに関連する材料を供給します。

光通信

InP基板などが高速な光ネットワークの受発光素子に関係します。

モバイル・電子機器

圧延銅箔、チタン銅、電磁波シールド材料などが使われます。

今回の資料では製品用途は示されていますが、個別顧客名、顧客別売上高、 契約期間、採用製品別の利益率は開示されていません。

JX金属のセグメント別売上高と利益

第1四半期の売上高は、基礎材料が1,237億円で最大でした。 情報通信材料は931億円、半導体材料は521億円です。 ただし基礎材料の利益には、市況や一過性要因が大きく含まれます。

セグメントFY26 Q1売上高営業利益前年同期比
半導体材料521億円144億円売上34.2%増、利益59億円増
情報通信材料931億円131億円売上19.1%増、利益54億円増
基礎材料1,237億円568億円売上65.1%増、利益422億円増
その他・調整△83億円△29億円
連結合計2,606億円814億円売上36.2%増、利益175.5%増

基礎材料の営業利益568億円には、カセロネス銅鉱山の一部権益売却益190億円や、 銅価・為替等の影響が含まれています。 そのため、各事業の継続的な収益力を比べる場合は、一過性要因と市況要因を分けて確認します。

JX金属の売上構成と利益構成

第1四半期のセグメント売上高を単純合計すると2,689億円です。 この合計に対する構成比は、基礎材料が約46.0%、情報通信材料が約34.6%、 半導体材料が約19.4%となります。連結売上高との差額は、その他・セグメント間取引の調整です。

セグメント売上高売上構成比営業利益
半導体材料521億円約19.4%144億円
情報通信材料931億円約34.6%131億円
基礎材料1,237億円約46.0%568億円

売上規模では基礎材料が最大ですが、将来の成長性を見る際は、 半導体材料と情報通信材料を合わせたフォーカス事業の販売数量と利益率も確認する必要があります。

JX金属の利益率は高い?セグメント別営業利益率を比較

各セグメントの営業利益を売上高で割った単純計算では、 半導体材料が約27.6%、情報通信材料が約14.1%、基礎材料が約45.9%です。

セグメント売上高営業利益単純営業利益率
半導体材料521億円144億円約27.6%
情報通信材料931億円131億円約14.1%
基礎材料1,237億円568億円約45.9%
連結合計2,606億円814億円約31.2%

基礎材料の利益率をそのまま実力値と見ない

基礎材料にはカセロネス銅鉱山の一部権益売却益190億円や、銅価・為替の影響が含まれます。 一過性要因を除いた継続的な収益力を判断するには、通常利益と市況要因を分けて見る必要があります。

JX金属はなぜ利益が増えたのか

第1四半期の営業利益は前年同期の296億円から814億円へ増加しました。 増益の中心は、一過性要因、銅価・為替、フォーカス事業の販売数量増加です。

増減要因営業利益への影響初心者向けの見方
一過性要因約191億円のプラス主に鉱山権益の売却益で、毎期続く利益ではありません。
為替・銅価等約265億円のプラス円安と銅価上昇が資源・素材事業の利益を押し上げました。
フォーカス事業の数量差約78億円のプラス半導体用ターゲットやチタン銅などの販売増加です。
基礎材料の数量差約32億円のマイナス鉱山の減産などが利益を押し下げました。

したがって、今回の大幅増益を分析する際は、 「本業の販売増」と「市況要因」と「一過性利益」を分けることが重要です。

JX金属のフォーカス事業とは何か

フォーカス事業は、半導体材料と情報通信材料を中心とする成長領域です。 会社は、AIデータセンター、先端半導体、光通信、高機能コネクタなどの需要を取り込み、 販売数量の増加、販売単価改善、高収益品へのポートフォリオ転換を進めています。

項目2023年度2025年度2026年度見通し
フォーカス事業営業利益273億円710億円1,000億円
フォーカス事業営業利益率8.8%14.3%17.1%
連結営業利益862億円1,750億円2,320億円

2026年度見通しでは、フォーカス事業の営業利益は前年度比40.8%増を見込み、 連結営業利益に占める構成比は40%を想定しています。

JX金属の半導体材料は何で稼ぐのか

半導体材料セグメントは、半導体用スパッタリングターゲット、 磁性材ターゲット、InP基板、CVD・ALD用材料、 タンタル・ニオブ関連製品などを販売します。

第1四半期は、AI関連投資により先端ロジック半導体やメモリ需要が高水準で推移し、 半導体用スパッタリングターゲットをはじめとする主要製品の増販が利益へ寄与しました。 売上高は521億円、営業利益は144億円です。

2026年度通期見通し

半導体材料の売上高見通しは2,300億円、営業利益見通しは610億円です。 5月公表値から売上高を300億円、営業利益を110億円引き上げています。

JX金属の情報通信材料は何で稼ぐのか

情報通信材料セグメントは、圧延銅箔、チタン銅、超微粉ニッケル、 電磁波シールドフィルム、電線、チタン関連製品などを扱います。

第1四半期は、スマートフォン向け圧延銅箔の増販と、 AIサーバ需要の拡大を背景としたチタン銅の増販が増益要因となりました。 売上高は931億円、営業利益は131億円です。

2026年度通期見通し

情報通信材料の売上高見通しは3,550億円、営業利益見通しは390億円です。 5月公表値から売上高を250億円、営業利益を70億円引き上げています。

JX金属の基礎材料は何で稼ぐのか

基礎材料セグメントは、銅鉱山権益を持つ資源事業と、 電気銅、型銅、貴金属、硫酸、リサイクル原料を扱う金属・リサイクル事業から構成されます。

第1四半期は、鉱山の減産によるマイナスがあった一方、 銅価上昇とカセロネス銅鉱山の一部権益売却益などにより、 売上高1,237億円、営業利益568億円となりました。

利益が市況で大きく変動する

基礎材料は売上規模が大きいものの、銅価格、為替、鉱山生産量、 鉱石品位、天候、製錬マージン、権益売却などの影響を受けます。 単年度の高利益をそのまま恒常的な利益水準として扱わないことが重要です。

JX金属はAIデータセンター向けに何を販売しているのか

JX金属のAIデータセンター関連製品は、AIサーバの一部分だけでなく、 GPU・CPU・メモリ、SSD・HDD、光ネットワーク、電源、コネクタ、 漏水検知など複数の領域にまたがります。

演算・メモリ

半導体用ターゲット、CVD・ALD用材料、タンタル粉末など。

データ保存

磁性材ターゲットがHDDの磁気記録メディアに関係します。

光通信

InP基板が高速な受発光素子に使われます。

コネクタ・設備

チタン銅やタツタ電線の漏水検知システムが使われます。

会社資料では、主な製品の販売数量が第1四半期に前年同期を上回り、 半導体用ターゲット26%増、磁性材ターゲット8%増、 InP基板8%増、キャパシタ向けタンタル粉末89%増、 圧延銅箔3%増、チタン銅42%増となっています。

半導体用スパッタリングターゲットとは何か

スパッタリングターゲットは、半導体ウエハや磁気記録メディアの表面へ 薄い金属膜を形成する工程で使われる材料です。 高純度、均一性、加工精度などが求められる製造用材料であり、 半導体そのものではなく、半導体を製造するために消費されます。

半導体用ターゲットの需要は、半導体工場の稼働、ウエハ投入量、 配線層数、製品世代、メモリ・ロジック半導体の需給などに関係します。 JX金属は、生産能力を2025年度比1.3倍へ引き上げる計画を示しています。

磁性材ターゲットは、HDDの磁気記録メディア上に薄膜を形成するために使われます。 データセンターにおける大容量データ保存需要が販売数量へ影響します。

JX金属のInP基板・タンタル粉末は何に使われるのか

インジウムリン(InP)基板

InP基板は、光信号と電気信号を変換する受発光素子の基板として使われます。 データセンター内外で通信速度が高まるほど、光通信関連部品の需要が拡大する可能性があります。

タンタル粉末

タンタル粉末は、半導体用ターゲット向け材料と、 タンタルキャパシタ向け材料に分けて説明されています。 タンタルキャパシタは、データセンターやPCなどの電源回路に関係します。

第1四半期のキャパシタ向けタンタル粉末の販売数量は前年同期比89%増でした。 通期ではAIデータセンター向けを62%増と見込む一方、 その他用途の減少を踏まえ、全体では2%増の見通しです。

圧延銅箔・チタン銅は何に使われるのか

圧延銅箔

圧延銅箔は、曲げられる配線基板であるFPCの導電材料として使われます。 スマートフォン、ウェアラブル機器、ロボット、医療用カテーテルなどが最終用途例です。

チタン銅

チタン銅は、高い強度とばね性を持つ高機能銅合金で、 サーバ向けコネクタやカメラモジュールのばね材料などに使われます。 第1四半期の販売数量は前年同期比42%増でした。

会社は、販売単価改善と高収益品へのポートフォリオ転換により、 情報通信材料の収益性改善を進める方針を示しています。

銅価格と為替がJX金属の利益に与える影響

第1四半期の平均為替は1米ドル159円で、前年同期より14円の円安でした。 LME銅価格の平均は1ポンド604セントで、前年同期より172セント上昇しました。

前提前年同期FY26 Q1差異
為替145円/USD159円/USD14円の円安
銅価432セント/lb604セント/lb172セント上昇

営業利益の前年同期差518億円のうち、為替・銅価等は265億円のプラス要因でした。 内訳として資料では、為替約60億円、銅価等約210億円が示されています。

銅価格上昇は基礎材料の売上と利益を押し上げる可能性がありますが、 製錬条件、鉱山生産量、原料調達、在庫評価なども関係するため、 銅価格だけで利益の変化を説明することはできません。

JX金属の第1四半期決算|売上高・営業利益が大幅増加

項目前年同期FY26 Q1前年同期比
売上高1,913億円2,606億円36.2%増
営業利益296億円814億円175.5%増
税引前利益285億円796億円179.9%増
四半期利益232億円604億円160.0%増
親会社所有者帰属利益189億円531億円181.3%増

営業利益の増加要因は、一過性要因191億円、為替・銅価等265億円、 フォーカス事業の数量差78億円などです。 一方、基礎材料の数量差は32億円のマイナス要因でした。

カセロネス一部権益売却益

第1四半期の一過性要因には、カセロネス銅鉱山の運営会社株式の一部譲渡に伴う 売却益190億円が含まれています。営業利益814億円のすべてを通常事業の利益とみなさないことが重要です。

JX金属の通期業績予想|営業利益2,320億円へ上方修正

会社は、AIサーバ関連需要によるフォーカス事業の増販と販売単価改善、 円安、銅価格上昇を踏まえ、2027年3月期の通期業績予想を上方修正しました。

項目5月公表8月公表修正額
売上高9,300億円1兆250億円950億円増
営業利益1,900億円2,320億円420億円増
税引前利益1,780億円2,210億円430億円増
親会社所有者帰属利益1,140億円1,410億円270億円増

営業利益の上方修正420億円は、為替・銅価等402億円、 フォーカス事業の数量差30億円、コスト差等81億円がプラス要因となる一方、 基礎材料の数量差が93億円のマイナス要因となる見通しです。

通期の前提は、平均為替157円/USD、平均銅価586セント/lbです。 鉱山ではチリの天候不良による減産影響60億円を見込んでいます。

JX金属の生産能力増強計画

JX金属は、AIデータセンター関連を中心とする需要拡大に対応するため、 半導体材料の生産能力を積極的に増強しています。

製品拠点増産規模稼働時期
半導体用ターゲットひたちなか工場ほか2025年度比1.3倍2027年度から順次
磁性材ターゲット磯原工場2025年度比1.2倍2026年度下期
InP基板磯原・ひたちなか工場2025年度比7~10倍2026年度下期から順次
タンタル粉末タイ2025年度比1.5倍2027年前半から順次

半導体用ターゲットの最終工程では、台湾の現地加工能力を1.4倍、 韓国を2倍へ増強する計画も示されています。 チタン銅など急速な需要拡大が見込まれる製品についても、 必要に応じて追加増強を検討するとしています。

flowchart LR A["AIデータセンター需要"] --> B["販売数量の増加"] B --> C["生産能力増強"] C --> D["半導体用ターゲット"] C --> E["InP基板"] C --> F["磁性材ターゲット"] C --> G["タンタル粉末"] D --> H["売上・利益"] E --> H F --> H G --> H C --> I["投融資・減価償却費"]

JX金属の投融資・減価償却・研究開発

2026年度第1四半期の投融資は256億円、減価償却費は126億円、 研究開発費は53億円でした。 会社は生産能力増強投資を反映し、2026年度の投融資見通しを 5月公表の1,140億円から1,350億円へ引き上げています。

項目2024年度2025年度FY26 Q1
投融資923億円845億円256億円
減価償却費440億円447億円126億円
研究開発費178億円200億円53億円

投融資は将来の生産能力と売上機会を増やす一方、現金支出を伴い、 稼働後は減価償却費として複数年度の利益へ影響します。 計画どおり需要を取り込み、稼働率と販売数量を高められるかが重要です。

JX金属の棚卸資産・有利子負債・キャッシュフロー

第1四半期末の総資産は1兆6,701億円で、前期末から1,648億円増加しました。 棚卸資産は3,660億円で、前期末の3,451億円から209億円増加しています。

項目2026年3月末2026年6月末増減
現金及び現金同等物663億円2,190億円1,527億円増
棚卸資産3,451億円3,660億円209億円増
総資産1兆5,053億円1兆6,701億円1,648億円増
有利子負債3,243億円4,366億円1,123億円増
ネット有利子負債2,579億円2,176億円403億円減

現金増加とネット有利子負債減少には、自己株式公開買付けに充当する予定の 転換社債型新株予約権付社債による調達資金が、 6月末時点では手元資金として残っていたことが影響しています。

第1四半期の営業キャッシュフローは132億円、 投資キャッシュフローは79億円、フリーキャッシュフローは211億円でした。 財務キャッシュフローは1,309億円で、現金同等物の増減額は1,520億円です。

自己株式の公開買付けは2026年7月9日に決済が完了し、 普通株式57,300,112株を1,949億円で取得しています。 6月末の財政状態には、決済前の会計処理が反映されています。

JX金属の収益構造上の特徴

先端材料の成長

AI・半導体・光通信向けの販売数量増加を取り込みます。

複数製品でAI需要を獲得

演算、記憶、通信、電源、コネクタ周辺へ材料を供給します。

銅の上流からリサイクルまで

鉱山権益、製錬、電気銅、貴金属、リサイクルを持ちます。

利益変動要因が多い

数量・単価に加え、銅価、為替、鉱山、一過性損益が影響します。

会社資料では、半導体用ターゲット、磁性材ターゲット、InP基板、 タンタル粉末、チタン銅などについて、会社推定のグローバルシェアも示されています。 ただし、推定方法や市場定義は製品ごとに異なるため、 シェア数値だけで競争優位を断定することはできません。

JX金属の業績を左右するリスク

半導体市況

AI投資、メモリ需給、工場稼働率が材料需要を左右します。

銅価格

LME銅価格の変動が資源・製錬・在庫評価へ影響します。

為替

円相場が海外売上、資源収益、換算損益へ影響します。

鉱山操業

天候、品位、設備、労務、地政学などで生産量が変動します。

能力増強

需要予測を下回ると設備稼働率や投資回収に影響します。

一過性利益

権益売却益を通常の営業利益と混同しないことが必要です。

決算短信では、マクロ経済、資源・素材業界の競争環境、 法規制、訴訟等も将来見通しに関するリスクとして挙げられています。

JX金属の決算で継続的に確認したい指標

  • 半導体用ターゲット販売数量:先端半導体・メモリ需要の強さを見る
  • 磁性材ターゲット販売数量:データセンター向けHDD需要を確認する
  • InP基板販売数量:光通信需要と能力増強の進捗を見る
  • タンタル粉末販売数量:AIサーバ・キャパシタ需要を確認する
  • チタン銅販売数量:サーバ向けコネクタ需要を確認する
  • フォーカス事業営業利益率:高収益品への転換を確認する
  • 銅価格:基礎材料の市況影響を確認する
  • 為替:円安・円高による利益変動を見る
  • 鉱山生産量:天候・操業による数量差を確認する
  • 一過性損益:権益売却益と通常利益を区別する
  • 投融資額:生産能力増強の資金負担を見る
  • 棚卸資産:在庫への資金滞留と市況リスクを確認する
  • 営業キャッシュフロー:会計利益が現金へつながっているかを見る
  • ネット有利子負債:投資・自己株式取得後の財務負担を確認する

JX金属のビジネスモデル・決算に関するよくある疑問

JX金属は何で稼いでいる会社ですか?

JX金属は、半導体用スパッタリングターゲットやインジウムリン基板、タンタル粉末、圧延銅箔、チタン銅などの先端材料に加え、銅鉱山権益、電気銅、貴金属、リサイクル事業などから売上と利益を得ています。

JX金属のフォーカス事業とは何ですか?

会社資料では、半導体材料と情報通信材料を成長領域のフォーカス事業として整理しています。2026年度通期見通しでは、フォーカス事業の営業利益を1,000億円、営業利益率を17.1%としています。

JX金属はAIデータセンター向けに何を販売していますか?

半導体用ターゲット、磁性材ターゲット、インジウムリン基板、CVD・ALD用材料、タンタル粉末、チタン銅、漏水検知システムなどがAIサーバ、SSD、HDD、光ネットワーク、コネクタ、電源周辺で使われると説明されています。

半導体用スパッタリングターゲットとは何ですか?

半導体ウエハ上に金属の薄膜を形成する工程で使われる材料です。JX金属の半導体材料セグメントを構成する主力製品の一つで、先端ロジック半導体やメモリ向け需要が業績に関係します。

JX金属の主力セグメントは何ですか?

第1四半期の売上高では基礎材料が1,237億円で最大でした。営業利益も基礎材料が568億円で最大ですが、一部鉱山権益の売却益や銅価上昇の影響を含むため、継続的な収益力を見る際は半導体材料・情報通信材料と分けて確認する必要があります。

JX金属の利益は銅価格と為替でなぜ変動しますか?

基礎材料では銅価が売上や資源・製錬事業の採算に影響します。また、海外取引や海外資産を持つため為替も業績へ影響します。第1四半期は円安と銅価上昇が大きな増益要因となりました。

JX金属のInP基板は何に使われますか?

インジウムリン(InP)基板は、光と電気を変換する受発光素子に使われ、データセンターを含む光通信用途に関係します。会社は2025年度比7~10倍の生産能力を目指す計画を示しています。

JX金属の決算で確認すべき指標は何ですか?

半導体用ターゲット、InP基板、タンタル粉末、チタン銅などの販売数量、フォーカス事業の営業利益率、銅価、為替、鉱山生産量、設備投資、棚卸資産、ネット有利子負債、営業キャッシュフローを継続して確認することが重要です。

JX金属の営業利益率は何%ですか?

第1四半期の連結営業利益率は、売上高2,606億円と営業利益814億円から単純計算すると約31.2%です。ただし鉱山権益の売却益や銅価・為替の影響を含むため、平常時の利益率とは分けて見る必要があります。

JX金属の売上はどの事業から多く出ていますか?

第1四半期のセグメント売上高では、基礎材料が1,237億円で最大です。次いで情報通信材料が931億円、半導体材料が521億円です。

JX金属のキャッシュフローはどう見ればよいですか?

第1四半期の営業キャッシュフローは132億円、投資キャッシュフローは79億円、フリーキャッシュフローは211億円でした。設備投資や資金調達、自己株式取得の影響を分けて確認することが重要です。

まとめ|JX金属は半導体材料と銅資源の両方で稼ぐ

JX金属は、半導体用ターゲット、InP基板、タンタル粉末、 圧延銅箔、チタン銅などの高機能材料を販売するフォーカス事業と、 銅鉱山・製錬・リサイクルを担う基礎材料事業を持っています。

2027年3月期第1四半期は、売上高2,606億円、営業利益814億円でした。 半導体・情報通信材料の増販に加え、銅価・為替と カセロネス一部権益売却益が利益を押し上げています。

通期では売上高1兆250億円、営業利益2,320億円を見込みます。 今後は、AIデータセンター関連製品の販売数量、 生産能力増強後の稼働、フォーカス事業の利益率、売上構成、設備投資、 営業キャッシュフロー、銅価格・為替・鉱山生産量を分けて確認することが重要です。

参考資料

  • JX金属株式会社「2027年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」(公表日:2026年8月6日)
  • JX金属株式会社「2027年3月期 第1四半期 決算説明資料」(公表日:2026年8月6日)
  • 連結業績・財政状態・業績予想:決算短信1~3ページ
  • セグメント別実績:決算短信2・10ページ、決算説明資料11~14ページ
  • 主な製品販売数量:決算説明資料5ページ
  • 生産能力増強計画:決算説明資料6ページ
  • 通期見通し:決算説明資料17~22ページ
  • 投融資・減価償却・研究開発:決算説明資料15・22ページ
  • 主な製品・用途:決算説明資料27~28ページ
  • 中長期事業目標:決算説明資料33ページ

編集部計算と表示単位

百万円単位の決算短信は、読みやすさを優先して億円単位へ丸めています。 表示上の端数処理により、差額や比率が会社資料とわずかに異なる場合があります。 一過性要因、会社推定シェア、将来見通しは会社資料の位置付けを明記して記載しています。