最初に確認した資料と記事で扱える情報

一次情報は、リガク・ホールディングスが2026年5月13日に公表した 「2026年12月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」と「FY26 1Q 決算説明資料」です。 決算短信の対象期間は2026年1月1日から2026年3月31日までです。

2資料から、全社業績、カテゴリー別の売上収益・営業利益、多目的分析機器、 半導体プロセス・コントロール機器、部品・サービス、地域・用途、研究開発、設備投資、 棚卸資産、キャッシュフロー、受注パイプライン、通期予想、資本業務提携などを確認しました。

ただし、カテゴリー別数値やエンドマーケット別数値の一部は会社の管理会計情報であり、 IFRSに基づく監査済みのセグメント数値ではありません。会社は「理科学機器の製造・販売」の 単一セグメントとして開示しているため、管理会計上のカテゴリーと会計上の報告セグメントを区別して読みます。

リガクは何で稼ぐ会社なのか

リガクは、物質を壊さずに構造・成分・厚さ・形状などを調べるX線分析・計測装置を販売して稼ぐ会社です。 装置を大学や研究所、製薬・化学・素材メーカー、半導体メーカーなどへ販売し、 納入後には保守、修理、交換部品、消耗品、アップグレードでも継続的に売上を得ます。

多目的分析機器

研究開発、品質管理、材料分析、創薬などで使うX線分析装置を販売します。

半導体計測

半導体の膜厚、形状、結晶状態などを製造工程内で測る装置を販売します。

部品・サービス

納入済み装置の保守、修理、交換部品、消耗品などで継続収益を得ます。

成長投資

研究開発、新製品、ソフトウェア、AI、販売・サービス網へ投資します。

2026年12月期第1四半期の売上収益は179億33百万円でした。 管理会計ベースのカテゴリー別では、多目的分析機器66億円、半導体プロセス・コントロール機器53億円、 部品・サービス58億円です。部品・サービスは前年同期比で増収増益となり、装置販売以外の収益源として機能しました。

リガクは何を売っている会社なのか

リガクの製品は、単に「X線装置」と一括りにできません。 研究室で幅広い試料を分析する装置、工場の品質管理で使う装置、半導体製造ラインに組み込む装置、 医薬品やタンパク質の構造解析に使う装置、装置稼働後の部品・サービスなどに分かれます。

カテゴリー主な製品・役割主な用途
多目的分析機器X線回折、蛍光X線、X線CT、単結晶構造解析など材料研究、品質管理、創薬、電池、化学、セラミックス、考古学など
半導体プロセス・コントロール機器薄膜、形状、組成、結晶性などの検査・計測装置ロジック、メモリ、先端パッケージングの製造工程管理
部品・サービス交換部品、消耗品、修理、点検、保守、アップグレード納入済み装置の安定稼働と性能維持

会社の会計上は「理科学機器の製造・販売」の単一セグメントですが、経営管理と投資家説明では上記3カテゴリーを使用しています。 したがって、カテゴリー別営業利益は事業理解に有用である一方、IFRSの報告セグメント利益とは位置付けが異なります。

リガクのX線分析装置は何を測るのか

X線は物質に当てたとき、物質の構造や元素、密度、厚さなどに応じて異なる反応を示します。 リガクは、その反応を測定し、試料の内部や表面の状態を数値・画像として解析する装置を提供しています。

分析方法の例分かること利用例
X線回折結晶構造、結晶相、結晶性、配向など電池材料、医薬品、半導体、金属、セラミックス
蛍光X線分析試料に含まれる元素と濃度品質管理、資源、化学、環境、セメント
X線CT内部構造、空隙、欠陥、形状電子部品、電池、工業製品、生物試料
単結晶構造解析分子・結晶の三次元構造創薬、タンパク質、化学研究

重要なのは、装置そのものだけでなく、X線源、検出器、試料ステージ、制御ソフト、解析ソフトを組み合わせて 顧客が必要とする測定結果を提供する点です。高精度なハードウェアと解析ノウハウの組み合わせが価値になります。

リガクの製品はどこで使われるのか

リガクの装置は、研究開発段階から量産工程、品質保証まで幅広く使われます。 研究所では未知材料の構造を調べ、製造現場では原料や製品が規格通りかを確認し、 半導体工場では製造工程が狙い通りに進んでいるかを監視します。

flowchart LR A["基礎研究・材料探索"] --> B["試作・製品開発"] B --> C["量産工程"] C --> D["品質管理・出荷判定"] A --> E["多目的分析機器"] B --> E C --> F["半導体プロセス・コントロール機器"] D --> E E --> G["部品・保守サービス"] F --> G

同じX線技術でも、大学の研究室向け装置と半導体工場向け装置では要求が異なります。 半導体向けでは、高速性、再現性、自動搬送、製造装置との連携、故障時の迅速なサービスなどが重要になります。

リガクの顧客は誰なのか

顧客は大学・公的研究機関だけではありません。製薬、化学、素材、電池、電子部品、半導体、 セラミックス、資源、環境、安全保障など、多数の産業で分析・計測を必要とする組織が対象です。

大学・研究機関

基礎研究、新材料、結晶構造、論文研究などで使用します。

製薬・バイオ

医薬品結晶、化合物、タンパク質構造、品質確認に利用します。

素材・化学

電池、金属、セラミックス、高分子、触媒などを分析します。

半導体メーカー

ロジック、メモリ、先端パッケージの工程計測に利用します。

決算資料は市場・用途別の説明を行っていますが、個別顧客名、上位顧客の売上比率、契約期間、顧客別採算は開示していません。 そのため、特定企業への依存度を今回の資料だけで判断することはできません。

開発から販売・保守までのビジネスモデル

リガクのビジネスモデルは、X線・検出器・機械・制御・解析ソフトの研究開発から始まり、 顧客の用途に合わせた装置の設計・製造、販売、設置、調整、教育、保守まで続きます。 装置を売って終わるのではなく、長期間安定して稼働させるためのサービスが必要です。

flowchart LR A["基礎技術・研究開発"] --> B["製品設計・ソフト開発"] B --> C["製造・組立・検査"] C --> D["代理店・直接販売"] D --> E["顧客への設置・立上げ"] E --> F["装置売上"] E --> G["保守・修理・部品"] G --> H["継続収益"] F --> I["次世代製品への再投資"] H --> I

高額な分析装置や製造工程向け装置では、受注から売上計上までに提案、仕様確定、製造、検収などの期間が必要です。 四半期ごとの売上は案件の検収時期によって変動しやすく、受注やパイプラインも併せて読む必要があります。

リガクの売上はどのように生まれるのか

売上は大きく、装置本体の販売と、納入後の部品・サービスに分けて考えられます。 装置販売は一件当たりの金額が大きい一方、案件の計上時期によって四半期変動が出ます。 部品・サービスは既存の設置台数を基盤として継続的に発生します。

flowchart TD A["研究・製造現場の分析課題"] --> B["装置の提案・受注"] B --> C["設計・製造・出荷"] C --> D["設置・検収"] D --> E["装置売上収益"] D --> F["保守契約・点検"] F --> G["部品・サービス売上"] E --> H["売上総利益"] G --> H H --> I["研究開発費・販管費を控除"] I --> J["営業利益"]

半導体プロセス・コントロール機器では、顧客の設備投資計画、半導体世代の切り替え、工場の新設・増設、 装置認定、新工程への採用などが売上を左右します。多目的分析機器では、研究予算、設備予算、地域の政策、 新製品投入、代理店活動などが関係します。

リガクのカテゴリー別売上構成

2026年12月期第1四半期の管理会計ベースの売上収益は、 多目的分析機器66億円、半導体プロセス・コントロール機器53億円、部品・サービス58億円でした。 億円単位表示のため合計は連結売上収益179億33百万円と完全には一致しません。

カテゴリーFY25 1QFY26 1Q前年同期比売上100円換算
多目的分析機器92億円66億円27.7%減約37円
半導体プロセス・コントロール機器61億円53億円13.1%減約30円
部品・サービス51億円58億円13.2%増約33円

売上100円換算は、カテゴリー別の億円表示を合計177億円として編集部が計算した概算です。 多目的分析機器が最大ですが、部品・サービスも約3分の1を占め、装置販売の変動を補う構造が見えます。

リガクの2026年12月期第1四半期決算

2026年12月期第1四半期は、売上収益179億33百万円、営業利益6億30百万円、 税引前利益4億2百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益3億29百万円でした。 前年同期比では減収減益ですが、会社は半導体プロセス・コントロール機器の牽引により想定を上回ったと説明しています。

項目FY25 1QFY26 1Q前年同期比
売上収益206億14百万円179億33百万円13.0%減
売上総利益115億90百万円97億58百万円18億32百万円減
営業利益28億35百万円6億30百万円77.8%減
営業利益率約13.8%約3.5%約10.2ポイント低下
親会社帰属利益19億18百万円3億29百万円82.8%減
EBITDA40億円20億円49.6%減

第1四半期は会社が「端境期」と表現する時期であり、通期売上予想1,010億円に対する進捗率は約17.8%です。 四半期進捗率だけで通期達成可否を判断せず、第2四半期以降の案件計上と受注動向を見る必要があります。

リガクの利益はどのように生まれるのか

IFRSの損益計算書では、売上収益から売上原価を差し引いて売上総利益を求め、 販売費及び一般管理費、その他の収益・費用を反映して営業利益を求めます。 2026年12月期第1四半期は売上総利益97億58百万円に対し、販管費は89億22百万円でした。

項目FY26 1Q売上収益比
売上収益179億33百万円100.0%
売上原価81億74百万円約45.6%
売上総利益97億58百万円約54.4%
販売費及び一般管理費89億22百万円約49.8%
営業利益6億30百万円約3.5%

売上原価率、売上総利益率、販管費率は公表値を基にした編集部計算です。 分析装置は高い粗利益率を確保できる一方、研究開発、営業、サービス、人材などの費用負担も大きく、 売上が減ると販管費率が上昇して営業利益が大きく減少しやすい構造です。

リガクが減収減益になった理由

第1四半期の減収減益は、一つの要因だけではありません。 多目的分析機器の米国市場への政策影響、前年同期との案件計上時期の差、売上減少、 半導体関連のコスト増、研究開発費、その他販管費、為替などが利益を押し下げました。

多目的分析機器の減収

米国での政策影響が継続し、売上収益は前年同期比27.7%減少しました。

売上減の固定費影響

売上が減っても研究開発や営業・サービス人員などの費用は一定程度発生します。

戦略投資

研究開発費や人件費など、中長期成長に向けた投資を継続しました。

カテゴリー構成

高利益率だった前年の半導体計測案件との差も全社利益率に影響しました。

ただし、会社は第1四半期の業績が社内想定を上回ったと説明しています。 「前年同期より悪い」と「会社計画より悪い」は同じではありません。前年同期比較と計画比を分けて読む必要があります。

多目的分析機器事業はどのように稼ぐのか

多目的分析機器は、大学、研究所、製薬、化学、素材、電池、電子部品など、幅広い顧客に分析装置を販売する事業です。 顧客の研究テーマや品質管理課題に応じて、装置、検出器、試料環境、解析ソフトなどを組み合わせます。

項目FY25 1QFY26 1Q
売上収益92億円66億円
営業利益12億円2億円の損失
営業利益率13.6%マイナス4.0%

会社は米国での政策影響が継続した一方、日本と中国はおおむね想定通りに堅調だったと説明しています。 半導体・電子部品向け、マテリアルズ・インフォマティクス、自動化材料探索などの案件は増えており、 第2四半期以降の回復を見込んでいます。

この事業の特徴は、対象市場が広いことです。特定産業への依存を分散できる一方、大学予算、政府政策、 民間研究開発投資、地域景気、新製品サイクルなど複数の要因に影響されます。

半導体プロセス・コントロール機器事業はどのように稼ぐのか

半導体プロセス・コントロール機器は、半導体製造工程で薄膜の厚さ、組成、結晶状態、微細構造などを測り、 工程が設計通りに進んでいるかを確認する装置です。半導体の微細化・三次元化が進むほど、 製造途中の計測と解析の重要性が高まります。

項目FY25 1QFY26 1Q
売上収益61億円53億円
営業利益16億円5億円
営業利益率26.3%10.9%

前年同期比では減収減益ですが、メモリとロジック需要を取り込み、会社想定を上回りました。 第2四半期以降は需要拡大、案件の前倒し、新製品案件の進捗によって成長加速を見込んでいます。

会社は2030年に既存製品と新規取り組みを合わせ、半導体プロセス・コントロール機器で 売上収益1,000億円を視野に入れています。ただし、これは目標・構想であり、達成を保証するものではありません。

部品・サービス事業はどのように稼ぐのか

部品・サービスは、既に顧客へ納入した装置を安定稼働させることで売上を得ます。 保守点検、修理、交換部品、X線源や検出器などの関連部品、消耗品、装置改造、ソフト更新などが含まれます。

項目FY25 1QFY26 1Q前年同期比
売上収益51億円58億円13.2%増
営業利益5億円10億円76.2%増
営業利益率11.2%17.4%6.2ポイント上昇

2026年12月期第1四半期は、EUV用多層膜ミラーの需要が低い状態でも、サービスやその他分析機器・部品販売が伸びました。 装置の設置台数が増えると将来の保守・部品需要の基盤も拡大するため、装置販売とサービスは相互に関係します。

リガクの受注・パイプラインをどう読むか

高額装置では、受注してすぐ売上になるとは限りません。仕様確認、製造、顧客工場への搬入、設置、検収を経て、 売上収益が計上されることがあります。そのため、将来の売上を見るには受注、商談パイプライン、出荷予定を確認します。

パイプライン

会社は第2四半期以降に向けたパイプラインが前年同期比11%増と説明しています。

受注予測

足元の受注予測は堅調とされますが、確定受注と見込み案件は区別が必要です。

案件前倒し

半導体向けでは顧客計画により案件時期が前後し、四半期売上に影響します。

検収時期

装置の完成だけでなく、設置・検収条件が売上計上時期に関係する場合があります。

ただし、今回の決算短信には会計上の受注高・受注残高の表はありません。 決算説明資料のパイプラインや受注予測は会社の営業管理情報であり、売上計上を保証するものではありません。

リガクとAI・半導体需要の関係

リガクはAI半導体を設計・製造する会社ではありません。 しかし、AIサーバーに使われる先端ロジック、DRAM、NAND、先端パッケージングの製造が複雑になるほど、 膜厚、形状、材料、結晶状態などを測る装置の需要が生まれます。

flowchart LR A["生成AI・データセンター需要"] --> B["先端ロジック・メモリ需要"] B --> C["微細化・三次元化・先端パッケージ"] C --> D["工程管理の難易度上昇"] D --> E["X線・光学による検査計測需要"] E --> F["リガクの半導体計測装置"]

また、多目的分析機器ではマテリアルズ・インフォマティクスや自動化材料探索との関係があります。 測定装置で大量の材料データを取得し、ソフトウェアやAIで解析・探索することで、新材料開発の効率化を目指します。

Onto Innovationとの資本業務提携

2026年5月、リガクは米国のOnto Innovationとの資本業務提携を公表しました。 Onto Innovationは、リガクの大株主から発行済株式の27.0%に相当する61,123,436株を取得する予定です。 取得時期は関係当局の許認可などを経た2026年下半期とされています。

取り組み狙い
X線技術×光学技術高精度X線と高速・高感度光学を組み合わせたハイブリッド計測
先端パッケージング検査・計測分野への本格的な事業拡大
ソフトウェア・AI計測、解析、工程最適化、歩留まり管理を統合
顧客基盤Onto Innovationのグローバル顧客基盤を活用
新市場創出2030年にリガク製品で少なくとも3億ドル規模の新市場創出を企図

既にリガクのCD-SAXSとOnto Innovationの解析ソフトを組み合わせた共同開発を進めています。 資本業務提携によって開発、販売、顧客対応、供給体制を加速する計画です。 一方、提携効果の金額や利益貢献時期は確定実績ではなく、今後の進捗確認が必要です。

研究開発とリガクの競争力

分析・計測機器では、測定精度、速度、再現性、自動化、解析ソフト、アプリケーション支援、サービス網が競争力になります。 リガクは研究開発費を継続的に投じ、X線源、検出器、光学系、機械設計、ソフトウェア、用途開発を組み合わせています。

2026年12月期第1四半期の研究開発費は決算説明資料の億円表示で17億円、 通期予想は85億円です。通期売上収益予想1,010億円に対する研究開発費比率は約8.5%とされています。

X線技術

高精度なX線発生・光学・検出技術が装置性能の基盤になります。

解析ソフト

測定データを顧客が使える情報へ変換するアルゴリズムが重要です。

用途ノウハウ

医薬品、電池、半導体など、顧客産業ごとの測定方法を蓄積します。

サービス網

装置停止を避ける保守・部品供給が顧客継続性を支えます。

ただし、研究開発費が多いことだけで製品競争力や将来の売上を証明することはできません。 新製品の採用、受注、売上、利益率、市場シェア、顧客評価まで継続して確認する必要があります。

リガクの棚卸資産増加は何を意味するのか

2026年3月末の棚卸資産は237億85百万円で、2025年12月末の208億77百万円から29億8百万円増加しました。 会社は第2四半期以降の需要増に向けた在庫増加と説明しています。

項目2025年12月末2026年3月末増減
棚卸資産208億77百万円237億85百万円29億8百万円増

棚卸資産の増加は、将来需要へ備えた材料・仕掛品・製品の確保を示す場合がありますが、 売れなければ資金が在庫に滞留します。営業キャッシュフローでは棚卸資産の増加が27億52百万円の資金減少要因となりました。

決算短信には棚卸資産の詳細内訳やカテゴリー別在庫、在庫評価損、回転期間は示されていません。 「需要増に備えた在庫」と「過剰在庫」を今回の数値だけで断定することはできません。

リガクのキャッシュフローと設備投資

2026年12月期第1四半期の営業活動によるキャッシュフローは22億95百万円の収入、 投資活動によるキャッシュフローは10億53百万円の支出、財務活動によるキャッシュフローは42百万円の支出でした。

項目FY26 1Q主な内容
営業活動CF22億95百万円の収入売掛債権回収がプラス、棚卸資産・債務減少・税支払がマイナス
投資活動CF10億53百万円の支出有形固定資産9億18百万円、無形資産1億9百万円の取得
財務活動CF42百万円の支出借入と返済、配当、リース返済の純額
期末現金同等物256億91百万円前期末から14億15百万円増加

営業CFから投資CFの支出額を単純に差し引くと12億42百万円です。 これは記事内の理解用計算であり、会社が定義するフリーキャッシュフローとは一致しない可能性があります。

通期設備投資額の会社予想は77億円です。設備投資は製造設備だけでなく、研究・開発・評価設備、 工場改修、サービス体制などに使われる可能性があります。投資の成果は将来の売上と利益で確認します。

リガクの財務状態とのれん

2026年3月末の資産合計は1,824億65百万円、資本合計は874億28百万円、親会社所有者帰属持分比率は47.9%でした。 現金及び現金同等物は256億91百万円、借入金は流動・非流動合計で578億99百万円です。

項目2026年3月末読み方
資産合計1,824億65百万円事業で使用する資産の総額
資本合計874億28百万円返済義務のない資本
持分比率47.9%資産に占める親会社所有者持分
のれん518億61百万円過去の企業買収等で計上された資産
無形資産261億1百万円技術・顧客関係等を含む可能性がある非物質資産

のれんは資産合計の約28.4%を占めます。のれんは通常の有形固定資産のように毎期定額償却されませんが、 買収した事業の収益性が想定を下回る場合には減損リスクがあります。 今回の四半期資料だけでは、のれんの事業別内訳や減損テストの詳細は確認できません。

リガクの主な業績リスク

リガクの業績は、顧客の研究開発予算、半導体設備投資、装置案件の検収時期、為替、地域政策、 部材調達、物流、研究開発の成否、競合製品などに左右されます。

案件時期

大型装置の検収が四半期をまたぐと売上と利益が変動します。

半導体市況

顧客の設備投資延期や工程変更が装置需要に影響します。

研究予算・政策

大学・政府・研究機関の予算や政策変更が需要を左右します。

研究開発

新製品が採用されなければ投資回収が遅れる可能性があります。

為替

海外売上と海外費用があり、円換算額や利益へ影響します。

地政学

中東情勢、物流、材料価格、工場運営などの不確実性があります。

中東情勢について会社は、現時点で製品市場への影響は微小、イスラエルでの製造と出荷に問題はなく、 原材料・物流コストへの影響も出ていないと説明しています。一方、主要部材の在庫確保や早期発注などの対応を進めています。

リガクの2026年12月期業績予想

会社は2026年12月期の通期予想を据え置き、売上収益1,010億円、営業利益194億円、 税引前利益184億円、親会社の所有者に帰属する当期利益125億円を見込んでいます。

項目FY25実績FY26予想増減率
売上収益941億円1,010億円7.2%増
営業利益167億円194億円16.1%増
営業利益率17.7%19.3%1.6ポイント上昇
当期利益114億円125億円9.6%増
年間配当18.80円19.00円予想0.20円増

会社は半導体プロセス・コントロール機器でメモリ・ロジック需要を取り込み、多目的分析機器の回復を見込みます。 一方、多目的分析機器の回復時期と中東情勢の影響を注視するとしています。

第1四半期の営業利益進捗率は通期予想に対して約3.2%と低く見えますが、会社は四半期ごとの案件構成が偏る前提で通期予想を維持しています。 第2・第3四半期で実際に売上・利益が加速するかが重要です。

リガクの決算で確認したい重要指標

リガクを見るときは、全社売上だけでなく、装置カテゴリー、地域、用途、受注、研究開発、 在庫、現金の流れをつなげて確認します。

  • 多目的分析機器売上:米国市場の回復、日本・中国の需要、新製品効果を見る
  • 半導体計測売上:メモリ、ロジック、先端パッケージの案件進捗を見る
  • 部品・サービス:装置販売に依存しない継続収益の伸びを見る
  • カテゴリー別利益率:製品構成と固定費吸収の変化を見る
  • 受注・パイプライン:翌四半期以降の売上候補の方向を見る
  • 研究開発費:投資額だけでなく新製品採用・売上への転換を見る
  • 棚卸資産:需要対応在庫か、資金滞留かを継続確認する
  • 営業キャッシュフロー:利益が現金回収へつながっているかを見る
  • 設備投資:製造・研究・サービス能力への投資負担を見る
  • のれん:買収事業の業績と減損リスクを見る
  • Onto Innovation提携:共同製品、受注、新市場、収益貢献の具体化を見る
  • 通期進捗:第2四半期以降の売上・利益加速が計画通りかを見る

リガク・ホールディングスのビジネスモデルに関するよくある疑問

リガク・ホールディングスは何で稼いでいる会社ですか?

X線分析装置、半導体製造工程向けの検査・計測装置、交換部品、保守サービスを販売して売上を得ています。

リガクの主力製品は何ですか?

X線回折、蛍光X線、X線CT、単結晶構造解析などの多目的分析機器と、半導体の膜厚・形状・結晶状態などを測るプロセス・コントロール機器です。

リガクの顧客は誰ですか?

大学・研究機関、製薬、化学、素材、電池、電子部品、半導体メーカーなどです。個別顧客別売上は今回の資料では開示されていません。

リガクはAI関連企業ですか?

AI半導体そのものは製造しませんが、AI向け半導体の製造工程で必要となる検査・計測装置を供給します。材料探索や解析ソフトへのAI活用も進めています。

なぜ第1四半期は減収減益でしたか?

多目的分析機器の米国需要への政策影響、案件時期、売上減少、研究開発費や人件費などの戦略投資負担が影響しました。

部品・サービスはどのように稼ぎますか?

装置納入後の保守、点検、修理、交換部品、消耗品、アップグレードなどで継続収益を得ます。

Onto Innovationとの提携は何を目指しますか?

X線と光学、解析ソフト、AIを組み合わせ、次世代半導体や先端パッケージ向けのハイブリッド計測市場を拡大することを目指します。

2026年12月期の通期予想はいくらですか?

売上収益1,010億円、営業利益194億円、親会社の所有者に帰属する当期利益125億円です。

決算では何を確認すべきですか?

カテゴリー別売上・利益、半導体計測の受注、多目的分析機器の地域回復、部品・サービス、研究開発費、棚卸資産、営業CF、通期予想の進捗を確認します。

まとめ

リガク・ホールディングスは、X線を使った分析・計測技術を基盤に、 多目的分析機器、半導体プロセス・コントロール機器、部品・サービスで売上を得ています。 装置販売だけでなく、納入後の保守や部品も重要な収益源です。

2026年12月期第1四半期は売上収益179億33百万円、営業利益6億30百万円で前年同期比減収減益でした。 多目的分析機器が落ち込む一方、半導体計測は想定を上回り、部品・サービスは増収増益となりました。

今後の成長の中心は、メモリ、ロジック、先端パッケージ向けの半導体計測です。 Onto Innovationとの提携では、X線、光学、解析ソフト、AIを組み合わせた新しい計測ソリューションを目指します。

一方、第1四半期から通期予想達成には大幅な売上・利益加速が必要です。 第2四半期以降の案件計上、受注、パイプライン、新製品、研究開発成果、棚卸資産、キャッシュフローを継続して確認することが重要です。

参考資料

  • リガク・ホールディングス株式会社「2026年12月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」(2026年5月13日)
  • リガク・ホールディングス株式会社「FY26 1Q 決算説明資料」(2026年5月13日)
  • 連結業績、財政状態、配当、通期予想:決算短信1ページ
  • 事業別の市場環境と経営成績:決算短信2ページ
  • 棚卸資産、営業債権、キャッシュフロー:決算短信3ページ
  • 財政状態計算書:決算短信4~5ページ
  • 連結損益計算書:決算短信6ページ
  • 資本業務提携:決算説明資料5~6ページ
  • 決算ハイライト、カテゴリー別業績:決算説明資料10~13ページ
  • 多目的分析機器・半導体計測の事業アップデート:決算説明資料の各事業説明ページ
  • 通期業績予想、利益要因、地域・用途別情報:決算説明資料の業績見通し・Appendix

編集部計算と数値の注意点

売上原価率、売上総利益率、販管費率、売上100円換算、のれんの資産比率、 通期予想に対する進捗率、営業CFから投資CF支出を差し引いた金額は編集部計算です。 百万円または億円単位の公表値を基に計算し、表示上は端数を丸めています。

決算説明資料のカテゴリー別売上・営業利益、エンドマーケット別売上などは管理会計ベースで、 IFRSに基づく監査済みの財務数値ではありません。連結数値との端数差やカテゴリー間調整が生じる場合があります。